韓国ではアプリストアの運営企業が、自社決済システムの利用をアプリ開発者に強制することを禁じる法が施行された。だが、米グーグルは、アプリ開発者に対し新たな制限を設けて選択肢を狭めようとしている。米ウォール・ストリート・ジャーナルが4月5日に報じた。
違反すれば罰金、アプリストア売上高の最大2%
同紙によるとグーグルは、開発者がアプリ内に外部リンクを設け、開発者の決済システムに利用者を誘導する行為を禁じようとしている。アプリ内に外部リンクを設けている企業は、22年4月からアプリストア「Google Play」の韓国版で新版を配信できなくなる。またそうしたアプリは22年6月1日までにGoogle Playから削除される可能性があるとグーグルは説明している。
これについて韓国放送通信委員会(KCC)は、「もしグーグルがこの罰則ポリシーを推し進めるのなら、KCCはグーグルが法に抵触していないかどうかを確認する初期段階の調査を開始し、その後本格的な調査を始める」と述べている。法に抵触していると認定されれば、違反期間中に発生した韓国版アプリストア売上高の最大2%の罰金が科せられる可能性があるとしている。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、グーグルと同社のOS「Android(アンドロイド)」は韓国市場で大きな影響力を享受していると報じている。香港の調査会社カウンターポイントによると、Androidを採用する韓国サムスン電子のスマホは同国スマホ市場で72%のシェアを持つ。これに対し米アップルのシェアは21%にとどまる。
グーグルと韓国当局、新法の解釈に相違か
韓国では、電気通信事業法の改正法案が21年8月の国会本会議で可決・成立し、同年9月に法が施行された。グーグルやアップルがアプリ開発者に対し自社決済システムを利用するよう強制することを禁じるものだ。だが、KCCが最終的な法施行の詳細を公表したのは22年3月になってから。 グーグルとアップルは現在、コンプライアンス(法令順守)計画を当局に提案している最中だ。