自社の研修から他社の研修へ、新たな顧客接点も

 「ジェロトーク」は2015年から、ジェロトークを使った研修を外部向けにスタートした。現在では、保険会社、クレジットカード会社、メーカーをはじめ、さまざまな企業が利用している。複数年にわたり継続利用している企業も多い。

「加齢性難聴の仕組みを知らない時には、みんな一生懸命、大きな声を出していました。机の下にもぐって大声でしゃべるといった漫画みたいなことも当たり前のように行われていました」(山田氏)

 現在のコロナ禍においては、電話以外の直接の音声コミュニケーションにおいても会話が聞き取りづらくなっている。その一例としては、コロナ禍でのスーパーマーケットなどのレジ周りだという。感染予防のためにレジ横にビニールなどがつるされている。その上、マスクをしているので、お客もレジ担当者もお互い声が聞きづらい。だから何度も聞き返すことになり、生産性を落としている。こうした直接のコミュニケーションの場面でもニーズがあると感じているという。

 ところで、社会全体でDXが進展すればするほど、その流れに乗れない人が出てくる。その人たちを救うための人対人の接客はますます重要になっていくだろう。しかし、それは昔と同じような接客に戻るという意味ではない。

 「ジェロトーク」がデジタル技術を使って、加齢性難聴の人に分かりやすい話し方を可能にしたように、これまでよりワンランク、ツーランク上のサービスを提供すべきだろう。お客はDXを意識せず、DXの恩恵を受けている。そのようなサービスが広がれば、DX化はいっそう進むはずだ。