加齢性難聴に関する研修で生産性が30%向上
「ジェロトークの一番のメリットは、オペレータの意識が変わることでしょう。他人の声を聞いているだけなら、どこかよそ事に感じますが、自分の声がどう聞こえるのかを体験することはインパクトが強く、高齢者に対して話し方を変えてみようという動機付けになるのです」(山田氏)
もっとも実際は、電話をかけてきた人が加齢性難聴かどうか、あるいは高齢者かどうかも分からない。相手が聞こえづらそうかどうかは、各オペレータが経験などから判断して対応している。
加齢性難聴の人が聞きづらいのは、50音では「さ行」「ぱ行」「た行」「か行」。こうした言葉を話す時には、意識をしてはっきりと発話する。聞き取りづらい言葉は、聞き取りやすい言葉に言い換えることを推奨していった。例えば、「住所・氏名」は「おところ、お名前」に言い換えるようになった。また、「御在宅」は丁寧な言葉だが聞きづらいので、クライアントの許可を得て「おうちにいらっしゃいますか」に言い換えた。商品名が聞きづらい場合は、仮にABという名前なら、何々に使用するABといった具合に使用目的をつけていう。商品名が聞こえなくても、商品名について話していると伝わるからだ。
もちろん、研修では耳の構造や高齢になれば高周波が聞きづらくなるといった理論的なことも教えているので納得感は高い。
このように加齢性難聴に関する研修を行うことで、平均通話時間が30%減少したセンターもある。また副次的に顧客満足ポイントが全世代で上がった。加齢性難聴の人に向けた話し方の訓練は、老若男女、全ての人にとっても聞きやすい話し方だったわけだ。