存在価値を高めるための処方箋
タイ製造拠点は自社や顧客への価値提供だけにとどまらず、"なくてはならない拠点""選ばれ続ける拠点"としての存在価値を高めることが求められる。そのために、さまざまな障害を乗り越え、目指すべき拠点像を描き、中長期にわたる腰を据えた取り組みが必須である。腰を据えて改革に取り組むには、リソースを中長期で確保し、そのリソースを最大活用し続けることが求められる。
タイ製造拠点でも日本国内同様、歩みを止めることは許されず、走り続けなければならない。走り続ける拠点こそが環境変化に適応し、高い競争力を有した存在価値の高い拠点になれる。
第10回(最終回)はタイ製造拠点が向かうべき方向性を考えた。近い将来、「日本や欧米に学べ」ではなく「タイから学べ」となるような製造拠点がでてくることを期待して本連載を終了したいと思う。
タイの製造拠点改革は現在進行形、かつ重要性が増している取り組みである。本連載がこの取り組みに関わる人に少しでも有益な情報が提供できていれば幸いである。
コンサルタント 角田賢司(つのだ けんじ)
生産コンサルティング事業本部
プロセス・デザイン革新センターセンター長
兼 デジタルイノベーション事業本部 シニアコンサルタント
IEをコア技術として収益向上のコンサルティングに取り組んでいる。自動車(部品)、化学プラント、樹脂成型、建材、食品等、多業種で収益向上の支援を実施。現場の生産性向上、品質向上、調達コストダウンや在庫削減等複数テーマを同時に展開、マネジメントの支援を行う。近年はタイ・中国等の製造拠点支援として生産性向上や品質向上の成果実現と併せ、マネジメントの仕組みづくり、ローカル人材育成を実践