第10回(最終回)となる今回は、タイの製造拠点が今後、目指すべき方向性として「タイ製造拠点の存在価値を高めること」のポイントについて説明する。
タイ製造拠点の存在価値とは
タイ製造拠点は日本国内の代替製造拠点からアジアを中心とした製品供給の要所になってきている。また、製品供給を通じて雇用を創出し、タイ国の発展にも貢献している。
改めて考えてみると、日本企業の利益創出のためだけではなく、タイ国やASEANを中心とするグローバルの発展に貢献することこそがタイ製造拠点が存在する価値だと感じる。
タイ製造拠点には、日本国内の本社や工場に不足することを広範囲かつ高いレベルで補う役割を担いつつ、自立して独自に成長していくことが求められている。成長のベースには利益を創出し続けられる体質が必要で、これをいかにして保有するかが鍵となる。
しかし、この体質は短期間でつくられるものではない。これまでに述べてきた通り、日々の確実な取り組み(日常管理)と将来のあるべき姿を描いてそこに向かう活動(目標管理)の両輪を回して推進することで、これは実現できる。この体質を構築できていない企業は成長のための足元の課題として認識し、早期にその解決に取り組むべきである。