存在価値を高める3つの方向性

 タイ製造拠点の存在価値を高める方向性をどのように考えるかは難しい問題である。事業環境や事業特性の違い、自社を取り巻く状況などで、さまざまな存在価値の高め方が考えられるからだ。ここではラフスケッチとして、存在価値を高めるための方向性を下図に整理する。

 製品供給から存在価値をより高める方向性として、バリューチェーンにおける機能発揮度を高めるよう開発、設計をタイ製造拠点に保有する、あるいはその範囲を拡大することが考えられる。例えば、既に開発機能をタイ製造拠点に保有しているとしても、一部の機能にどどまっていることがあるため、さらに広範囲に機能を拡大していくなどだ。

 また、サプライチェーンの強化に貢献するには、調達力・物流力が重要であり、タイ製造拠点にグローバルな調達・物流機能を保有することで、ASEANや日本にまで貢献していくことも考えられる。

 他の拠点への貢献という観点からは、圧倒的な量産の技術力を持ちつつ、グローバルに技術指導・提供を行うアジア地域のマザー拠点となる道もある。

 この他にも全く新しい事業領域を生み出し、独自の成長路線を歩む道もあり得る。さまざまな方向性が考えられるが、どの道筋も短期で実現できるものではない。大切なのは、自らの拠点の進む方向性を定め、実現のための道筋を描き、早期にスタートすることである。