認知バイアスは気付くだけで行動が変わる

 認知バイアスはその存在自体、企業の中ではまだあまり注目されていないが、自分の認知バイアスに気付くとすぐに行動を変えられることもある。

 たとえば、「もし自分の意見がすべったらばかにされそう」と怖がっている人に、「あなたが逆の立場だったらばかにするの?」と聞くと、そんなことはないと気付いてはっとする。そこで少し勇気をもって、自分の意見を言ってみようかとチャレンジをする。そうしたら、ばかにされるどころか、なるほどと言われることも出てくる。そうすると「自分の意見を言ってもいいんだ」と自分に許可を出すことができるわけである。

 イノベーションや組織変革というのは、これまでの常識を変えていくものだから、どうしても周囲からの共感が得られにくいし「抵抗勢力」の存在を感じてしまう。

 人間はやはり嫌われたいわけではないから、「嫌われる」と感じてしまう可能性のあるイノベーションや組織変革には尻込みをする。しかし、実際には「嫌われる」と思っているのは自分だけであり、反対はされても別に嫌われているわけではない、ということに気が付くと、気が楽になり、行動に移せるものである。