R&D(研究開発)の現場では、現在2つのことが期待されている。

 1つ目は現事業の競争力強化につながる技術開発である。現行製品の機能・性能向上であったり、低価格化対応であったり、あるいは海外市場への展開対応などもここに含まれる。

 2つ目は、新たな価値の創造や新事業の創出につながる技術開発である。現事業の競争条件を覆すような技術開発、さらにそこにつながる基礎研究や先端研究などもここに含まれる。

 現事業の競争力を強化していく技術開発は、従来から日本企業が強みとしていた。開発ターゲットも設定しやすく、事業部門と連携しながら、チームワークを活かして着実に改善・改良を進めていくマネジメントをしっかりやっていくことで対応できている企業も多い。

 難しいのは新たな価値の創造や新事業の創出につながる技術開発である。この実現には、自らターゲットを設定して、そこでの価値をデザインしなければならない。場合によっては既存事業の枠外で事業化を進めていく力が必要になる。ここで求められるのが、"イノベーションを起こす人材"だ。今、その育成に多くの企業がチャレンジしている。