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(宗 裕二:日本能率協会コンサルティング 品質経営研究所所長、プリンシパル・コンサルタント)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大は製造業にも計り知れない影響を及ぼしました。本連載では、アフター・コロナの時代にモノづくりの現場はどう変わるのか、どう変わっていくべきかについて、3回にわたって考えています。今回は最終回となります。
正しい改善視点とECRS
アフター・コロナのモノづくりでは、一連の生産スタイルのサイクルを相当コンパクトにし、さらに、効率的に運営できるように変革することを検討しなければなりません。そのためには、やはり「改善」は必要でしょう。
既にご承知の方がほとんどだと思いますが、改善の基本的な考え方について改めてお話しします。必要な仕事だけを対象にして(その他の仕事はいったん忘れて)、その中から「基本要素」を抽出し(「補助要素」をいったん忘れて)、改善を考えます。
基本要素とは、直接的に付加価値を生み出している作業や業務のことです。付加価値のある必要不可欠の基本要素に対して、改善の4原則を適用します。
改善の4原則とは、「ECRS」であらわされる「Eliminate:排除」「Combine:結合」「Rearrange:入れ替え」「Simplify:簡素化」です。この順番に改善効果が高く、必要な経費も安価であるという基本的な考え方です。
最初は「Eliminate:排除」を実現するにはどうしたら良いかを徹底的に考えてアイデアを出します。「Eliminate:排除」がどうしても叶わなければ仕方がないので「Combine:結合」を次に考えます。「Simplify:簡素化」は、アイデアが出なかった時に最後の手段です。