(写真はイメージです/写真AC)

 厳しい環境に置かれている地方の小規模スーパーは、どうすれば生き延びていくことができるのでしょうか。本連載では3回にわたって、小規模スーパーが生産性を高め、収益を向上させるための取り組みについて、具体的な事例を紹介しています。
(寺川 正浩:日本能率協会コンサルティング ビジネスプロセスデザインセンター チーフ・コンサルタント)

「地元ならでは」を何で訴求するか

 地方の小規模スーパーが、深刻化していく人員不足に対応していくために、管理者不足の中での店舗マネジメントの見直しと店舗業務の効率化を推進し頑張っています。しかしこれだけではGMS、CVS、大手ドラッグストアとの競争には太刀打ちできません。社員にアプローチするだけではなく、消費者に直接アプローチする、商品・サービス面での付加価値が必要です。

 A社の鮮魚部門は、圧倒期に取扱量の多い150キロ離れた魚市場まで毎日仕入れに行ったり、精肉部門は平田牧場の三元豚をいち早く取り扱うなど取り組んできました。ただ、同じ地場のスーパーと差をつけることができても、やはり全国規模で商品を仕入れ配送する体制を完成しているGMSと同じ土俵で戦い続ける力は蓄えていません。加えるべきは「地元ならでは」の付加価値です。

 A社の商圏は水源に恵まれ焼酎や醤油・味噌の蔵が多く、地元の蔵元と焼酎、醤油・味噌のPB(自主企画)商品をこれまでも開発してきました。まさに地元ならではの商品であり購入者からの評価は良かったのですが、企画から関わっていくわけですからパッケージ開発も含め手間もかかりますし、在庫リスクを含めるとその多くは採算ラインに至らないのが実情です。まだまだやりようはあるのでしょうが、A社としてはこれ以上ここ(自主企画)に資源を投入するのはあまり得策ではないと判断しました。