大型店舗のイベントスペースを使ってダンスショー、バルーンアート企画を実施したり、読み聞かせ読書会を催したり、地元の歯科医師会と協同で子供向けの無料歯科検診を行ったりと地域の方々とのコミュニケーションを行うようなイベントも年々増加してきました。お盆期間に行われるVRお化け屋敷企画は人気の恒例イベントにもなりました。これらイベントの様子をYouTubeで配信し視聴回数もじわじわ増えてきました。圧倒的に高齢者中心の町なのですが、高齢者の方々が若年層から活気をもらうために、そして10年後の将来のお客様づくりのために若い世代向けの企画を積極的に行っています。

 以前に比べ来店頻度が減ったお客様を対象にしたアンケート調査でも随分と地元応援のコメントをいただきました。これもお客様や地域に対する社員の気持ちをさらに動かす原動力になりました。

 トップダウンで「わが企業は地域のために・・・」と言われたところでピンとこないものですが、お客様の反応、地域の反応が増えてくると、地域への発信活動や貢献活動も好循環で増えていくのだなあと改めて実感します。

 A社はあえてトップダウンを効かせている会社ではありません。全国行脚してダイヤの原石のような商材を見つけてきて取引までつなげるカリスマバイヤーがいるわけでもありません。

 トライアンドエラーの積み重ねです。A社だからできたことも、他社はやれているがA社はできていないこともあります。規模が小さいから軌道修正も効くのでいろいろ試せばよいのです。

 もともと強みなんてありません。強みはチャンスを地域と共有しながら作っていくものと教えられます。

 地方スーパー再生が明るい地方創生を実現させるのです。

◎寺川 正浩(てらかわ・まさひろ)
日本能率協会コンサルティング ビジネスプロセスデザインセンター チーフ・コンサルタント
1997年 JMAC入社。専門はマーケティング・営業領域。戦略策定から、戦略を実現するための業務プロセスの設計、KPIを活用したマネジメントの仕組みづくりを経て、実施・定着化までの一貫したコンサルティングを行う。小売・サービス業、食品メーカー、アパレルメーカー、医薬品メーカーなど幅広い範囲を支援。著書に「トップのための経営講座 国内成熟市場で伸びる営業・マーケティング戦略」(商工中金経済研究所)、『実務入門 「仮説」の作り方・活かし方』『実務入門 営業計画の立て方・つくり方』(いずれも日本能率協会マネジメントセンター/共著)、「サービスプロセス改善事例集2010」(日経BP寄稿)、ほか多数。JMACサイトでもコラムを執筆。