くら寿司のロボット化、デジタル化の歴史

 ここからは、くら寿司の動向について詳しく述べていこう。同社には創業者で現在も同社代表を務める田中邦彦氏のイズムが企業文化として存在している。それは「まずは自分たちで考える、そして実行する」ということ。従業員一人一人が主体性を持って行動するという意識が「全員経営」となって定着している。

 これを背景にして、同社は飲食業界の中でもロボット化やデジタル化にいち早く取り組んできた。その事例を時系列で紹介しよう。

・水回収システム(1996年):テーブルの皿回収ロボットにすし皿を投入すると、水流により皿が洗い場まで運ばれる。テーブル上でのお皿の積み上げをなくし、片付け作業の負担を軽減できる。

・時間制限管理システム(1997年):商品がレーンの上で空気に触れている時間を管理して規定時間を超えたときに廃棄する。

・製造管理システム(1998年):すしカバーに取り付けたQRコードなどによってレーン上にある商品が空気に触れている時間と個数などを管理。また、顧客の滞在時間によって変化する消費皿数(食べる量)を予測。係数化した「顧客係数」を厨房に表示し、レーンに流す皿数を最適化、廃棄ロスを軽減している。

・ビッくらポン(2000年):水回収システムと連動し、5皿に1回抽選ゲームができる。「当たり」が出たらオリジナルの景品をプレゼントする。子供に大人気のシステム。