ダイナミックな成長を実現させるヤマハ発動機のDX

経営基盤改革から始める3段階の取り組みに学ぶ

山田 典男(ヤマハ発動機 執行役員IT本部長)/2021.6.10

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※本コンテンツは、2021年4月23日に開催されたJBpress主催「第2回ものづくりイノベーション」の特別講演Ⅰ「ヤマハ発動機におけるDXの取組み」の内容を採録したものです。

ヤマハ発動機株式会社
執行役員IT本部長
山田 典男氏

個別最適が足かせに。IT基盤の全体最適化に向けて

「感動創造企業 世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」を企業目的とするヤマハ発動機は近年、ブランドスローガン「Revs your Heart(レヴズ ユア ハート)」を掲げ、エンジンの回転を上げるように、顧客の心が躍る瞬間を提供するための変革を進めている。

 連結売上高の6割超をモーターサイクル、四輪バギー、電動アシスト自転車など「ランドモビリティ」が占めており、その後にマリン関連製品、ロボティクス、金融サービス、その他事業が続く。国内ビジネスは連結売上高の10%程度。アジア・北米・欧州などの海外売上比率が高いことも同社の大きな特色だ。

 ヤマハ発動機は近年DXに乗り出し、その取り組みは、経済産業省「DX銘柄2020」に選定されるなど評価されている。DX推進に至った理由について、同社IT本部長の山田典男氏は背景にあった課題意識から説明する。

 2010年代以前における同社のビジネスモデルとビジネスプロセスは、「地産地消・大量生産型」だった。完成車部品輸出をはじめとするハブアンドスポーク方式(中心拠点に貨物を集約させて拠点に仕分ける方式)が採られ、意思決定要件は拠点最適・拠点別需給調整。それを支えるIT基盤には、拠点・プロセスに最適化された内製のスクラッチシステムを個別に導入していた。

 ところが2010年代、完成車・部品相互調達をはじめとする「グローバルサプライチェーン・多種少量型」にかじを切り、それに伴い意思決定要件も連結最適・連結需給調整へ移行。個別最適にフィットする旧来のIT基盤が“足かせ”となってしまった。

「近年巻き起こっているデジタル化・パーソナライズ化・ライフタイム化、そしてモノ+サービス化といった新たな潮流の中、より機動的かつ事業横断的な経営判断をするために、会社横断的指標の必要性やニーズ変化への迅速な対応が問われています。そこで、IT基盤の全体最適に向けたデジタル革新に取り組んでいくこととなりました」