良品計画はなぜ、赤字38億円からV字回復できたのか?

ポイントは「負けた構造から勝つ構造をつくった」ことだった

松井 忠三(良品計画 前会長)/2021.5.25

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※本コンテンツは、2021年3月26日に開催されたJBpress主催「第2回 ビジネス・アクセラレーション・フォーラム」の特別講演「赤字38億円からV字回復させた『仕組みづくり』 ~無印良品は仕組みが9割~」の内容を採録したものです。

株式会社松井オフィス 代表取締役社長
(株式会社良品計画 前会長)
松井 忠三氏

無印良品の成功を生み出した3つの基本コンセプト

「無印良品」を運営する株式会社良品計画は1989年に創業した。創業当時は、日本の小売企業各社がプライベートブランド開発に注力し始めた時期。「無印良品」もセゾングループの西友が立ち上げたプライベートブランド「SEIYU LINE」を前身としている。当初のキャッチコピーは「わけあって、安い」。それから歳月を経て、無印良品は一大ブランドへと成長を遂げ、現在は国内・海外合計で970店舗を展開する。

 松井忠三氏は、大学卒業後に入社した西友ストアー(現西友)から子会社の良品計画に転籍し、2001年1月から同社代表取締役社長を務めた。2008年に会長職へ退き、現在は2010年に設立したT&T(現・松井オフィス)の代表取締役社長を務めている。

 松井氏は講演の中で、無印良品が成功を収めたポイントを「(1)素材の選択、(2)工程の点検、(3)包装の簡略化」からなる、ブランドの基本コンセプトから説明した。

(1)素材の選択:おいしくて健康にも役立つ食品、着心地よく身体になじむ衣服、使い勝手を第一に考えた生活雑貨など、ふだん見過ごしがちな基本のものづくりのために素材を見直します。品質は変わらないのに見栄えのためだけに捨てられているもの。業務用の素材、世界中から見つけた原材料や、安価で大量に確保できる旬のものなどを活かして、低価格で質の良い商品を提供します。

(2)工程の点検:ひとつの商品ができるまでのプロセスを徹底的に点検します。例えば、選り分けたり、大きさを揃える手間をなくし、規格外のサイズやかたちが理由で捨てられていたものも商品にします。不揃いのままだったり、つや出しせずに仕上げたり、商品本来の質に関係のないムダな作業を省いて必要な工程だけを活かしています。素材をムダなく活かし、コストダウンにもなる、実質本位のものづくりです。

(3)包装の簡略化:無印良品のすべての商品は、誕生以来、成り立ちのわけが印刷されているパッケージかタグがついているだけで店頭に並んでいます。包装が必要なものは、まとめて一括包装にしたり、共通容器に入れるなど、過剰な包装をしていません。地球の資源をムダにせず、ごみを減らす取り組みを続けています。
※良品計画のホームページより

 そこに至る発想の原点を「モノしか見えないモノをつくる」と話す松井氏。余分な装飾を捨て去り、製品の品質だけで勝負したことが功を奏したと振り返る。特に90年代の良品計画の経営実績はまさしく“右肩上がり”で順風満帆な成長を遂げたといえるが、この成功要因について松井氏は、「無印良品のコンセプト形成」「脱セゾン化」「出店による商品開発のプルアップ」「生活雑貨拡大政策による差別化推進と成長」「製造小売業(SPA)による高差益率」の5つに整理する。