R&D戦略はプロセスだけでなく、組織能力も考えるべき
R&Dのマネジメントには、どのようなテーマを行うのかという『技術戦略、開発戦略』、どのようにテーマを推進するのかという『プロセス・研究方法論』、そして実務を行う人・組織の能力や意欲をいかに高めるかという『組織能力』という3つの分野がある。
1つ目は技術戦略論、2つ目のプロセスは研究の方法論であり、過去から比較的よく議論されている分野で、3つ目の「組織能力」については、最近注目が高まってきている。
この組織能力については、一橋大学の楠木建先生の『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)という本の中で、おおよそ次のように説明されている。
競争相手に対して違いを出すには2つの方法がある。
1つはSP(Strategic Positioning)。つまり、良い戦略を考えるということ。もう1つはOC(Organizational Capability)。つまり、組織能力が高いということだ。戦略の巧拙は確かに重要だが、実行部隊である現場組織の能力の違いによって、立案した戦略を実行できるか否かも決まり、そもそもどれくらい難しい戦略まで実行できるのか、その幅も違ってくると言える。
遠藤功さんの『現場論』(東洋経済新報社)の中でも、このOC(組織能力)の重要性が語られている。では、この組織能力を高めるために、R&D現場でどのように考えてマネジメントをするべきなのだろうか。