ニーズを可視化するプロジェクトポートフォリオマネジメント

 一口にプロジェクトと言っても、「先行投資」的な短期的なリターンを求めないプロジェクトから、当たり外れはあるが当たれば大きい「試行錯誤」の段階、あるいは「当たり」を積極的に拡大していくものなど、全てを同じ観点で評価し、優先順位付けすることは難しい。そのため、幾つかのグループに分けて、各グループのばらつき(配分)の最適化と、グループ内の優先順位をつけることで経営層が意思決定を行うことを支援するツールがプロジェクトポートフォリオである。

 プロジェクトポートフォリオは、それだけで半自動的に投資の意思決定が行われるものではなく、あくまでも経営層が戦略的な意思決定を行うにあたって、その判断の基本情報を提供するものであり、最終的にはポートフォリオには表されない知見や経験によって判断することになる。また、ポートフォリオの軸や指標は企業の戦略や価値観などによって変わる。図はその一例である。

 ポートフォリオにプロジェクトをプロットするにあたって、正確に予測しにくいグループ(前例のない事業立ち上げなど)ほど、潜在的価値やプロジェクトの進め方の合理性、プロジェクトリスクなどが優先度の評価基準となり、正確に予測しやすいグループ(業務改善など)ほど、ROI(投資対効果)、NPV(正味現在価値)など費用対効果の定量指標が優先度の評価基準となる。なお、ポートフォリオを過度に精緻化したり、指標の正確性を求めたりすると、ポートフォリオの作成とアップデートに過大な工数がかかり、運用が形骸化する。そのため、意思決定の「支援」ツールとして最低限機能するレベルにとどめることが望ましい。