失敗するDXプロジェクトの多くは、始まる前に決まっている

DXプロジェクトがうまくいかないのはプロジェクトのせいか?①

マネジメントソリューションズ/2021.6.7

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写真:UTS/イメージマート

 多くの企業では今、デジタルを活用したビジネスモデルへの転換を迫られる一方、DXをはじめ、業務改革、ITシステム導入、M&A後のPMI(Post-merger Integration)といった重要なプロジェクトがうまくいかないことが大きな課題となっている。派手な失敗こそ少ないものの、「思ったほど効果が上がらない」「当初思い描いた姿からスケールダウンしている」など事実上の失敗に陥っているケースが少なくない。

 筆者は23年間、外資系コンサルティング会社で全社変革や大規模新規事業の立ち上げなどを担当したほか、ベンチャー企業では2年間、事業開発に携わった経験を持ち、直近1年半はPM支援を主業とするマネジメントソリューションズで大小さまざまな企業におけるプロジェクトの運営を目の当たりにしてきた。

株式会社マネジメントソリューションズ MC事業部 エグゼクティブディレクター 和田智之氏

 その経験から言わせてもらえば、「勝算が立っていない状態」、つまり、「どうすればプロジェクトの成功確率が高くなるのか見えていない状態」でスタートしているプロジェクトが非常に多いと感じている。ただし、必ずしも100%の「成功確率」を目指す必要はない。DXプロジェクトの中には、やってみなければ分からず、試行錯誤(トライアル・アンド・エラー)によって成果を手にするか、あるいは、断念して別のアプローチやテーマに振り分けなければならないプロジェクトも多いからである。しかしだからといって、プロジェクトの企画や計画をおざなりにして良い理由にはならない。

 日本企業でよく見られる光景は、キーワードレベルの粗い構想フェーズを「企画」と称し、具体化と実行はDX部門や事業部門、情報システム部門などに丸投げすることである。そのため、構想立案者と計画/実行者の間には溝が生まれ、必要なリソースを含めた会社からの組織的な支援もなく、何かを成し遂げる「仕事」というよりは、期間内に手を動かす「作業」となってしまっている。当然、そうしたプロジェクトにオーナーシップは希薄で、「なんとしてでも成功させよう」ではなく「(うまくいかなくても)言われた通りのことをやろう」という心理状態になってしまう。このように「勝算が立っていない状態」からスタートし、さらにひどいことに「どうしようもない状態」に陥っても支援はなく、中止にもならず、メンバーが疲弊しているプロジェクトをこれまで多数見てきた。読者も、このような状態に心当たりがある方が多いのではないだろうか。

 本コラムでは今回、プロジェクトが始まる前に起きている問題と、それを解決して成功の果実を得るために何をすべきかを4回にわたって解き明かしていきたい。