経営層に問われている「選択と集中」
社会の大きな変革期を迎え、DXをはじめとする変革プロジェクトのニーズが大きく高まる一方で、プロジェクトを実行するためのリソース、特に人的リソースが質、量ともに逼迫している状況にある。
人的リソースに関しては、ある程度、パートナー企業の外部リソースで補完できるところもあるが、DXプロジェクトでは社員がリーダーシップをとってイニシアチブを発揮することが求められる。つまり、DXプロジェクトをリードできる社員の工数以上のことをやろうとすると、プロジェクトのQCDの悪化、つまり、Qualityは品質低下、Costでは予算超過、Deliveryでもスケジュール遅延を招くことになる。その結果、動き出したプロジェクトの実態に合わせて達成目標の下方修正が行われる場合が多くなる。DXに大規模な投資を行っている企業で、プロジェクトが総じてうまくいかない、期待に沿わない状態に陥っているのは、こうしたパターンが多い。
また、「どれも重要なので外せない」という話もよく耳にするが、感覚的に経営層は「選択と集中」を行っている。全部やろうとして、どれも中途半端になるくらいであれば、やることを半分に減らして、その分のリソース(ヒト、カネ)を残ったものに集中して密度を倍にする方が、得られるリターンが大きくなることは理解しているのである。
しかしながら、「需給バランスが可視化されていない状態」において、旗振りをしている経営層が成長や変革のために、必要なことをやらなくてもいいとは言えない。また、案件の入れ替えをやろうとして、一度GOサインを出したプロジェクトを途中でやめさせることについても、根拠がなく行うことは難しい。
そのため、経営層がプロジェクトの優先順位付けを行い、変化に合わせて見直しを行えるようにするためには2つのコントロールのための可視化の仕組みが求められる。