印刷会社の事業承継、悲劇を回避し解決を導くための要諦

経営者が勇気を持ち、現実と向き合うために必要なこと

JBpress/2021.4.2

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経営者が事業承継を考えるきっかけは「年齢」と「将来の不安」

――大きな出来事が起こったことで、事業承継を考えざるを得なくなったというお話しでしたが、そもそも中小企業の経営者は、どのようなきっかけで事業承継を考えるものなのでしょうか。

鈴木氏 何らかのきっかけがあることは確かです。日本の中小企業の3分の1は事業承継が進んでいない、といわれているように、多くの経営者は承継の話しをしても「わかっているが、今じゃない」となりがちです。定番といえるきっかけは、やはり年齢と将来の不安です。2020年は新型コロナがあり、経営者にしかわからない将来に対する不安が大きくあったはずです。

 最近お手伝いした2つの事業承継案件も、きっかけは年齢と将来の不安でした。1つ目の事例は、ご自身で創業された企業、買収した企業の2社を持たれている70歳台の経営者で、そのうちの1社は息子さんに承継しました。もう1社は、4~5年前からIPOも見据えて経営をされてきましたが、最終的にはある金融機関関連の投資ファンドに売却しました。売却後もその会社はIPOを視野に入れながら、従業員の雇用を守って、さらなる成長も期待できるよい売却だったと思います。

 もう1つの事例は、まだ50代の方で後継者はいませんでしたが、そのオーナーに頼らずに経営できる環境を整備していました。その方いわく、多くの事業承継提案が電話やダイレクトメールで舞い込んできていたとのことです。ただ、あまりにも情報がありすぎて何が本当なのかわからなくて不安になった末に、当社にご相談いただきました。