(真ん中)
サッポロビール株式会社 マーケティング本部 コミュニケーション開発部 メディア統括グループ
シニアメディアプランニング マネージャー
福吉 敬 氏

(右)
株式会社オーエスエル 取締役執行役員副社長
プロデューサー/クリエイティブディレクター 朝倉 道宏 氏

(左)
株式会社日本HP 経営企画本部 マーケティング推進部
部長 甲斐 博一 氏

前編から続く)

デジタル時代に変わりゆくパッケージの在り方

甲斐 博一 氏(以下、甲斐氏):改めてクリエイティブという観点で考えたとき、商品パッケージとは一体、どのようなものだといえるのでしょうか。

朝倉 道宏 氏(以下、朝倉氏):ビールを目隠しして飲んで、それが何か当てられる人はなかなかレアですよね。

 でも、きちんとデザインされたパッケージをみれば、ブランドのストーリーがよみがえるはずです。そう考えると、やはりデザインやクリエイティブはブランドにとって絶対的に必要なものなのだと思いますね。

 ただ、今の時代は華美なパッケージの必要性について議論されることも増えてきています。だからこそ、さまざまな要素を取り払ったときに、また新しいパッケージが生まれるのではないかとわくわくしているんです。例えば、これから新しいパッケージに挑もうとする企業がいたとして、そのお題に対してどう答えるか、というのはものすごく楽しみです。

甲斐氏:そのお題は、やはりクライアントの企業によってレベル感が違うんでしょうか。

朝倉氏:そうですね、オリエンは全然違いますね。パッケージの場合は特に、商品部門からのオーダーが多いです。ブランドマネージャーや商品担当の方から商品の話を聞くことが多い半面、意外とマーケティング部や宣伝部の方が絡んでこないことが多いです。

甲斐氏:日本はものづくりの国なので、作ったものを売るのが販促、つまりマーケティングの役割とされていることが多いんですよね。経済発展期に強い営業力で成長してきた企業が多く、それらの人たちが今や企業の幹部に多い。となるとマーケティングは営業のサポートをどれだけしてくれるか、という定義になりやすく、だから日本はマーケティング後進国だと感じることが多いです。

朝倉氏:本来はマーケティング発想でパッケージを見た上で、それが売れるのか、世の中が求めているのか、といった問いがあるべきですね。

甲斐氏:長年マーケティングに携わってきた者としてそこを変えていきたいですよね。

朝倉氏:そうですね。あと、クリエイティブの一部を別の会社が作っていて、ブランドの世界観が全然違う、ということもありますよ。もっとひどいと、デジタルの部分はまた別の会社が作っています。

福吉 敬 氏(以下、福吉氏):どんどんぐちゃぐちゃになっていくんですよね。

甲斐氏:それはどうやったら変わりますかね。

朝倉氏:やはり横串を刺して統合できる人材が必要ですね。パートナーの会社が全部拾って統合する、ということもなくはないと思うんですけど、それはあまり健康的ではないと思っています。

福吉氏:事業会社側にも課題があると思っています。開発、ブランド、コミュニケーションの部門がバラバラで動いているんですよね。当社ではそれを一緒にやろうとしていて、商品を作るところから一緒に考えれば、パッケージやコミュニケーションも一連、一体で考えられるから、それを統合的にコミュニケーションの文脈に載せていこう、という話をしています。

甲斐氏:そこを早くやった企業が勝つんでしょうね。

福吉氏:そうですね。

朝倉氏:デジタルという文脈だとやりやすい、といったことはあったりするんですか。

福吉氏:いえ、私たちもプロダクトを作っている会社なので、パッケージができた後からやり取りすることもありますよ。

甲斐氏:ものづくりに焦点があると、意識が顧客に向いていないことは多いですよね。本来は顧客を満足させるために組織を再編成しなければいけないと思っています。

環境問題がパッケージに与えるインパクト

甲斐氏:環境問題とパッケージやラベルとの関係性についても、皆さんのご意見を伺いたいと思います。

朝倉氏:海外のある水の会社がプラスチック容器を紙パックに変えた、という取り組みに注目しています。そのデザイン自体もすごく良いんですが、今までプラを使っていた会社が紙パックや瓶に挑戦する、というのはいいですよね。多くの企業が環境問題に対して、そうしたスイッチの入れ方をしてくれるとうれしいなと思います。

甲斐氏:そうした取り組みには、やはり組織変革がすごく重要だと思います。ペットボトルで水を商品化してきた人から、それを紙にしようという発想はなかなか生まれない。だからこそ、環境問題に取り組むというコーポレートスローガンを出して、そのために新しい人材をプロダクト側に入れる、というようなアプローチが必要ではないでしょうか。

福吉氏:日本のレガシー企業には、外部から人を呼んで変革しよう、という空気はあまりありませんよね。特に、製造部門に外部から人が入ることが少ないように思えます。外から変革意識を持った人を連れてくるということ自体が、メーカーの製造部門ではなかなか起きづらいのが現状です。

甲斐氏:それで結果、マーケットで負けてしまうんですよね。特にそれが最近、グローバル企業との戦いの中で起きています。私もグローバル企業の一員ですが、お客さまの中心は日本企業ですので、それがすごく心配です。時間をかければ変容していくと思うんですが、スピードという観点では難しいはずです。環境問題に対応して新しい法律ができたとしても、おそらく短い時間の中では対応し切れないのでは、と思います。

福吉氏:当社は元々、北海道の企業ということがあって、SDGsということをいわれる前から原料の生産者を「協働契約栽培」にすることにも取り組んできたので、その点の意識は高い方だと思います。でも、やはり社内の多くがプロパーで構成されていると大転換は起きづらいですよね。
最近は変わってきたといってもやはり日本は転職市場ではないじゃないですか。そこで人が入れ替わることに慣れていない企業の中で、急にそこに劇薬のようなものを盛り込んだときのリスクもあると思います。だからこそ、そこを少しずつ変えていくことが必要なのかな、と。

甲斐氏:そうですね。摩擦は絶対に起きるので、そのときにリーダーシップを発揮する人とそれを支える経営陣というのも必要ですね。

福吉氏:そうですね。例えば3年で結果を出せと言われると、一定の軋轢は起きそうなので、10年かけてやるために今まず、ここからスタートします、というロードマップを作ることが必要だと思います。

 そして、社内である程度、変革意識を持っている人たちのプロジェクトチームを作った上で、リソースが足りないところのニーズに合わせて、新しい人材を招き入れることが必要だと感じています。社内からも自分たちがやりたいことを一緒に実現してくれる人だと受け入れやすくなってくるはずです。ただ、それをやるためには経営側が意識を変えることも必要ではないでしょうか。

甲斐氏:うーん、それでは時間という資産を失ってしまい競争力の点で心配ではありますが、現実的なアプローチなんでしょうね。

福吉氏:また、経営側がこの3年を乗り切れば大丈夫、と考えているようではなかなか変革が起こりにくいと思います。幸い、当社の場合は僕みたいな新しいことを勝手に掘り起こしてくるような人間も受け入れてくれるので少しずつ変化していくことができていますが。

甲斐氏:よかった時を知っているとどうしても踏ん張れば元に戻る、という根拠のない発想に陥りがちですね。

朝倉氏:オープンイノベーションを掲げてSDGsをテーマに新しいパッケージをつくりましょう、となってアイデアが生まれても、生まれたところでだいたい終わってしまうことも多いですよね。

福吉氏:そこですよね。本当はもっと先にゴールがあるはずなのに、アイデアを形にすることが目的化してしまい、形が見えたら完結、ということですよね。

甲斐氏:経営側がそれを受け入れて伸ばさなきゃいけないですよね。

朝倉氏:そうですね。PRのネタになっていることもあります。

甲斐氏:日本が環境に関して後進国なのは、SDGsに対応していなくてもモノやサービスがまだ売れるからだと思います。コロナ禍はそれが一気に変わるチャンスと捉えられたと思うんですが、皆さんはどう思われますか。

福吉氏:パッケージの環境への取り組みの話なんですが、ビール業界って実は、ほぼリターンしているんです。瓶は全部リターナブルで共通瓶を使っていて、樽もリターナブルなので何度も使っています。現時点ではパッケージのうち、捨てているものはほとんどないんです。

甲斐氏:プラスチックがないということですね。

福吉氏:そうなんですよ。そうした意味ではビールのカテゴリーでいうと、既に捨てるものがないくらいなので、今からそぎ落とすものもあまりないんです。

 では、コロナ禍で何が変わるかというと、家庭用消費への取り組みでしょうか。ビールの中でも本来、業務用の瓶と樽が一番確実にリサイクルされます。でも、コロナ禍では家庭用消費が伸びてくるので、6缶パックの紙パッケージの消費が増えてきます。これは100%リサイクルは難しいので、私たちの場合、コロナ禍では廃棄物が増えてくる可能性が考えられます。

 私がブランドの仕事をしていた今から5年くらい前に当社の工場では、紙の面積を少しでも減らして、廃棄物を減らす、といった取り組みを実施しました。SDGsが話題になる前から取り組んでいたので、少しずつですが軽量化や廃棄物の抑制が進んでいます。

パートナー企業として印刷会社に求められること

甲斐氏:では、今の時代に印刷会社に求められることについてお聞かせください。皆さんから見て、印刷会社との現状の関係についてどのように考えられていますか。

福吉氏:やはりパートナー企業だと思っています。「私たちが実現したいことはこういうことで、こんな商品をつくりたいので、こんなデザインを実現してください」というやり取りをしています。これは人によって仕事の仕方が違うので何ともいえませんが、一緒に実現していかないとゴールまで行き着かないよね、という意識をみんなが持っているので、上下という関係ではありません。

甲斐氏:割と早い段階から組まれていますか。

福吉氏:そうですね。「こんな入稿をします。実現できますか」といった話は早い段階で共有しています。今は価格が安い印刷会社はいくらでもあるじゃないですか。でも、ビジネスで仕事をするときにはきちんとした印刷会社さんに依頼しています。営業さんの質によっても全然違うと思います。

甲斐氏:そういうのはありますね。

朝倉氏:営業さんが印刷のことを詳しく話せないと、気持ちが萎えますね。見積りだけではなく、その案だったら、「その紙よりも、こっちの紙の方が絶対いいですよ」という提案をしてくれる人でないと、付き合っていて手応えがないなと思います。

 新しいPOPを作るときにも、「この紙で、こういう形もいいんじゃないですか」というようなプロ意識を感じさせる提案だったり、「デジタルもあるから、デジタルと紙を融合させたらこんなことができますよ」と言ってくれたりしたら、ビジネスが広がるかもしれないですよね。そうした意味では、印刷会社のセクション分けはもったいないと思います。

福吉氏:そうですね。印刷会社さんに限らず、プロフェッショナルが減ってきているという印象を受けます。印刷のことを聞けば何でも分かる、という人が減っているのではないでしょうか。「これってできますか?」と聞いたときに、その場で回答できる人と、分からずに一度持ち帰る人とでは、やはり前者の方が相談していて安心です。やっぱりパートナー企業にはプロフェッショナルであってほしいし、そういう意識でやっていてほしいですよね。

甲斐氏:なるほど。印刷される方に素材の知識も必要なわけですね。

朝倉氏:そうですね、デザイナーもそこまで完璧に詳しいわけではないんです。むしろ素材や印刷に使うインクに関しては素人に近い。例えば、マット系という要望があった場合、こんな紙というイメージは湧くんだけど、今回のコストであればこれかもしれない。でも、もう少しコストを積むとこういう紙も使えるかもしれない。あるいは、この紙だとコストオーバーだけど、この紙に近いものでいけるかもしれない。デザイナーとしては、こういう状況はテンションが上がります。

 そして、予定していたものよりもいい紙があったとして、「1回クライアントさんに説明して、今回はこの紙で刷りたいんです」というようなことが積み上げ式でできるかがすごく大事だと思います。

甲斐氏:印刷は素材とインクの組み合わせが製造物としての構成要素、それと後加工。まずはモノづくりにおいても、その全てを統合して考えられるかどうか、ということなんでしょうかね。

朝倉氏:そうですね。さらに環境という観点でいうと、「これは塩ビを使っていて環境によくないから、この素材はやめた方がいいですよ」と言われたらグッときますね。

福吉氏:はい。次もこの人、指名でいこうと思いますよね。

朝倉氏:そうした人が今いないからこそ、そこにチャンスがあると思います。

甲斐氏:印刷技術もオフセットからデジタルまでいろいろ出てきていて、確かに覚えるのは大変です。歴史ある業界ではありますが、最近の進化はやっぱり激しいですね。だからこそ、興味を持つことと、短いスパンでたくさんの経験を積むことの2つが重要ですね。

福吉氏:印刷もクリエイティブじゃないですか。だから、そのクリエイティブ自体を自分のものにしたいと思って臨んでいる人と、そうでない人では全然違っています。だから仕事としてやっている人たちは、目の前で起こっていることを覚えればいいと思っているかもしれませんが、興味を持っている人は「うちってこんなことをやっているんじゃないか」と研究部門に聞きに行っています。後者の人は、すごいスーパー営業になると思うんですよね。

甲斐氏:そうですね。パッケージを作るとか、商品そのものを作るということに関していうと、日本人はこだわりが強いので、今のようなことに応えてくれる人たちはまだまだ必要かもしれませんね。

表現力を生かすための提案が求められる

甲斐氏:最後に、これからの商品パッケージがどうなっていくと思うか、個人的な見解で構いませんのでお聞かせください。

福吉氏:古くから今に至るまで、パッケージの役割はさほど変わっていないのではないか、と思います。中身が何であるのかを伝えると同時に、それそのものがコミュニケーションすることによって、お客さまの手に取ってもらうために努力する。広告としての価値ももちろん大事ですが、お客さまが選ぶ入り口であると同時に、パッケージ自体がお客さまとの関係値をつくっているんです。

 その中で変わっていくものは、やはり表現力ですね。デジタルがはやる時代には、派手で華やかな表現が増えてくると思います。そこでは高精細に印刷されるパッケージがもっと人の目を引いたり、手に取ってもらえたりするようになるのではないでしょうか。インスタ映えに慣れた人たちに語り掛けようとすると、くすんだ色よりもビビッドなカラーがはやってきたり、逆に少しモノトニッシュが好きな人たちもいたりすると思うので、それに合ったパッケージが求められるはずです。

 パッケージ自体も画一化されたものではなく、表現力が広がっていくと思うので、お客さまに合わせた印刷技術を持ったパッケージはこれからもっと出てくるのではないか、という印象です。お菓子のパッケージを見ていても、ターゲットに合わせて印刷技術から何から変えている、という印象を持ちます。缶を一つとっても、昔の缶と変わりましたよね。

甲斐氏:缶は変わりましたね。酎ハイの缶などもそうですよね。

福吉氏:前はベタ色しかできませんでしたが、表現力も上がってきています。表面の印刷もザラザラした感じにすることによって、触った感じも含めたパッケージが作られています。

 技術も進化し続けているので、パッケージの表現力もお客さまの思考に合わせて増していくのではないかと思います。

甲斐氏:そこでやはり印刷会社には、コンサルできるくらいの力が欲しいですよね。

福吉氏:そうですね。先ほどの朝倉さんの話にあったように、「こういう表現をしたいんだったら、こういう紙がいいです」「この印刷技術を使うべきです」ということをきちんと話せる印刷会社の人たちが出てくると、そうしたところに指名で仕事が入るんじゃないかと。

甲斐氏:マーケティング業界では、既に広告がそうなってきています。それが印刷業界にも来そうですね。

朝倉氏:そういう人や企業が現れれば、取り合いだと思います。さっき話題に挙がった環境保護であれば、環境に優しい紙、環境に優しいインクとか、全部そういうのが分かっていれば、華美なデザインはほぼ選ばないはずですよね。

 例えば、すごく環境に配慮していることが、細かく言わなくても感じる商品でシンプルなデザインをする場合、どういう素材で、どう表現すればいいかを聞いたとき、「こんなパックで、こんなインクを使って、こんな加工をすると良い」と提案してくれるスペシャリストみたいな人がいるといいですよね。他にも、ちょっとしたプレミア感や期間限定、あるいは個人向けの華やかなデザインにはこういう素材がいいかも、というようにいろいろな引き出しを持ってくれていると、めちゃめちゃ相談しがいがありますよね。

福吉氏:それを一人の営業ができなくてもいいと思っています。そうしたスペシャリストを数人抱えていて、やりたいことを伝えるとその人を連れて来てくれれば、それでいいかもしれない。インクのスペシャリスト、紙のスペシャリスト、という具合に顔出ししてもらってね。

甲斐氏:いいですね。その発想はなかったな。それは面白いですね。

福吉氏:呉服を作るときの悉皆屋(しっかいや)さんだと思うんですよ。お客さまからの注文が入って、こういう絵柄を好むのであればあの絵師に頼んで、この染師に頼んで、ということを選べる人ということですね。

甲斐氏:絶対にそうなりますね。さらにデジタルの力とかパーソナライズといったテクノロジーの力に対する専門性も必要になる。

朝倉氏:そう思いますね。みんなどこか不安を抱えているじゃないですか。この頼み方でいいのかな、とか(笑)

甲斐氏:印刷会社はやっぱり基本、受け身だから、そう言われたらそれをやるんですよね。

 そうではなく、今、求められているのはコンサルですね。新旧技術を組み合わせた新しいコンサルテーション力。

 最後に商品パッケージやギフトに関わる事業に携わられている方、印刷会社の皆さんにメッセージをお願いできますでしょうか。

朝倉氏:パッケージの可能性は、まだまだ無限にあると思っています。もちろん、デザイン的にもいろいろな可能性があるわけですが、フォトビーのような取り組みがあることで新しいパッケージデザインの考え方も生まれています。新しい体験価値が生まれてきたとき、どんなデザインができるのか。こうしてパッケージデザインも拡張していけると、パッケージの世界はもっと広がるな、と思います。

甲斐氏:ありがとうございます。では、福吉さん、お願いします。

福吉氏:私は今の若いデザイナーさんに伝えたいことですが、画面の中だけで考えることはやめてほしいですね。手書きの絵も書かずにパソコンの中でドローイングソフトを使って絵を描いて、そこでできたものが完成形だと思っている人は多いように感じます。でも、どの紙を使うかで手触りも変わるし、印刷されたときの技術によって見え方も質感も変わります。
紙がどうあるべきなのか、印刷がどうあるべきなのかを考えたり、それが手に取られたときにお客さまにはどんな感動を与えられるのかを考えたりすると、モニターの中だけでは絶対に完結しないんです。

甲斐氏:その通りですね。

福吉氏:印刷されたときに出てくる絵と、画面で見てくる色は全然違います。実際に手に取ったとき、蛍光灯の光の下で見ただけでも見た目は変わってくるじゃないですか。そうしたときにどんな顔を見せてくれるのかを、リアルできちんと想像した上で最終デザインを起こしていくと、パッケージがさらに強いコミュニケーション力を持ってきます。

 デザインを選ぶときにはその先の、最終的な商品がどうなるのかを想像した上で、パッケージを真剣に考えていただけると、パッケージを通してより世の中、社会を豊かで楽しいものにできると考えています。

甲斐氏:光の色とインクの色を分けて考えられていない人は多いですよね。光はRGB、印刷はCMYKで表現されるわけですが、RGBで作られたものが好きな人は、その色をそのままCMYKでも表現してほしいようなんです。こうした現代ならではのニーズに対し、デジタル印刷では「RGB印刷」という技術でRGBの色を正確に再現することで応えています。もちろん、4色で表現するCMYKの方が3色で表現するRGBよりも豊かに表現できることは間違いないので、今後はこのあたりの使い分けも一層重要になってきそうですね。

 本日はありがとうございました。