変革への取り組み その2:意識改革
自社の仕組みを変革する2つ目の取り組みは意識改革、チェンジ・マネジメントである。
チェンジ・マネジメントとは、業務や組織の変革を進める際のマネジメント手法だ。抵抗の背景を直視し、心理的安全性※1をつくり、関係者の前向き・後ろ向き・中立を含めた率直な本音や、根底にある想いを意図的に引き出し、変革に向けた手法(やり方)と変革実現への意識(在り方)から変革を促進・実現するための手法である。
※1 心理的安全性:不安や恥ずかしさを感じることなくリスクある行動を取ることができる状態
チェンジ・マネジメントの具体的なプロセスとしては、“FDJRC※2”プロセスが有効である。
※2 FDJRC:Finding(客体化)、Design(自分事化)、Journeying(行動化)、Reflection(実感化)、Culture(習慣化)の頭文字をとったもの
まずは発案者の想いを確認し、背景・目的・ゴールを理解した上で客観的に捉える。その後、それらを自社の問題へと落とし込み、目指す姿を明確にする。それから変革の実践、成功事例をつくり、モデル化、拡大の繰り返しにより変化を実感してもらい、環境整備による行動の習慣化により組織文化を醸成していく(自社の仕組みを変革するための意識改革の詳細は、後日公開予定のコラムに譲る)。
「自社の仕組みの変革」とは、自社の商品・サービスを通じて、社会に提供したい価値を追求した感性指標の設定と意識改革をすることである。さらに、SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない」を自社に結び付け、活動として定着させていくことが重要である。
コンサルタント 河合友貴(かわい ゆうき)
生産コンサルティング事業本部 サプライチェーン革新センター
大手電機メーカーで実務を経験した後、2018年にJMAC入社。製造業を中心に、SCM改革、製造/物流現場改善のコンサルティングを行っている。サステナビリティ分野では、GHGプロトコルスコープ3排出量算定やマテリアルフローコスト会計(MFCA)推進などを支援している。