変革への取り組み その1:感性指標の展開
まず1つ目は、感性指標の展開である。感性指標とは定性指標の1つで、企業がアウトカム、事業を通じて何を実現したいか、その目指す姿を誰にでも分かりやすく表現した指標である。もちろん、ステークホルダーの企業への共感・納得・応援の度合いは、その感性指標の達成状況により変わっていく。つまり、感性指標とは見る人の感性に訴えたり、感性を刺激したりする指標といえる。
従来は、企業・消費者ともに目に見える価値観(カネ・モノ)を優先するという意識で行動を選択していた。消費者が情報を論理的に判断して商品・サービスを選択するため、企業もカネ・モノを管理項目とした意識指標(≒管理指標)による経営を行っていたわけだ。
しかし、消費者の価値観は変化し、企業の理念・姿勢・取り組みに共感・納得・応援するために、商品・サービスを購入するような傾向が出始めた。想い、共感などの感性が行動選択に影響する現代では、企業も自社の商品・サービスを通じて、社会に提供したい価値・存在意義を追求した上で、設定した感性指標による経営を行う必要がある。
感性指標の設定には、目標の「チャンク」の変更が必要である。チャンクとは塊を意味し、物事をより大きな範囲で捉えること(抽象化)をチャンクアップ、逆に小さな範囲で捉えること(具体化)をチャンクダウンという。従来の考えで指標展開を行う場合、起点は自社の商品・サービスとなり、財務指標中心の意識指標の展開となる。そのため、今一度、自社の存在意義に立ち返り、目標のチャンクアップをした上で指標を設定する必要がある。