テレワークが定着、生産性をどう高めるか

 次に2番目のキーワード「ソーシャルディスタンスの尊重」について。

 これまでの常識は「満員電車を避け時差通勤をする」「感染拡大時には大規模イベントを中止する(例:今年2月末に実施予定だった世界最大のモバイル通信イベントMWC 2020)」「買い物の行列時には間隔を空けて並ぶ」などであった。

 それらに対してニューノーマルは「電車に乗って会社に出勤する日を減らす(テレワークを定着させる)」「そもそも10万人規模の大規模イベントは行わない」「買い物は極力、ネット通販(置き配)やデリバリーサービスを利用する」となるだろう。

 テレワークについては、前回(「そのウェブ会議システムは正しく開発されているか」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60126)も詳しく取り上げたが、新型コロナ収束後も働き方改革のニューノーマルとして定着するはずだ。

 今回、日本の企業でいち早くグループ社員のテレワークを英断したGMOインターネットの熊谷正寿 会長兼社長は『日経ビジネス』(2020.05.04・11合併号)のインタビューで、在宅勤務は通常時の体制にも組み入れる、週5日勤務のうち1~3日(会社の推奨は2日)を在宅勤務にする、同時にオフィスのフリーアドレス化を進めて家賃コストを40%削減、削減分の50%は社員に還元する、という趣旨の発言をしている。

 また、インターネットプロバイダー・ポータルサイト大手のビッグローブが実施した「在宅勤務に関する意識調査」(注)では、「在宅勤務をしてみて、通常時も在宅勤務などのテレワークが可能」と回答した人の比率は何と9割弱に達したことに加え、「在宅勤務により通勤頻度が減ることでストレスが減った」は6割弱、仕事の成果については「成果が出るようになった」が3割強とテレワークをポジティブに感じている人の比率が想定以上に高いことにも併せて注目したい。

(注)会社で在宅勤務が認められ、直近3週間で週に1日以上在宅勤務をしている全国の20代~60代の男女1000人を対象にしたアンケート結果。調査期間は2020年3月13日~同3月15日(参考:ビッグローブのプレス発表資料、2020年3月31日)。

 もちろん、テレワークの生産性を高めるにはウェブ会議システムがXRやホログラムなどの技術を使って臨場感を高めることと並行して、企業と社員の家庭をつなぐVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク:企業が社内システムを安全に運用するための仮想の専用線)の拡充や、社員の家庭の光回線化(特に集合住宅で光回線を接続している集合装置から各戸までの配線にLANケーブルや従来の電話線を使っているケース)や5Gへの置き換えに対する補助など通信インフラ整備も抜かりなく行うことが必要だろう。

 大規模イベントについては、来年以降、CES(世界最大の民生技術の展示会。来場者約17万人)や前述のMWC(来場者約11万人)の開催がどうなるかが著者の最大の関心事であるが、MWCを主催するGSMA(GSM Association:携帯通信業者の世界的な業界団体)は、(おそらくは来年以降の開催方式を模索する試みとして)中止になったMWC 2020に参加登録をした顧客向けに無料で定期的な記事配信やウェビナーの開催を行っている。

 ソーシャルディスタンスを尊重する他の試みとして、ネット通販やデリバリーサービスが増えていることは言うまでもないが、類似の動向として著者が注目しているのは、米ニューヨークに本拠を置くエクササイズバイクの企業・ペロトン(Peloton)に代表される、家庭でできるオンライン・フィットネスのサービスだ。

 リアルのフィットネスクラブの経営は今後、新型コロナ感染リスクから難しくなることが予測される反面、巣ごもり志向が継続する中、Nintendo Switchのリングフィット・アドベンチャーでは飽き足りないフィットネス愛好者から、オンライン・フィットネスが熱い支持を集めるであろうことは想像に難くない。

(参考)Peloton Bikeの30秒TVCM(YouTubeより)

大きく刷新される日本人のショッピング体験

 新型コロナの感染拡大防止・感染予防の3つ目のキーワードは「非接触(タッチレス)」の実現である。

「レジでは店員と客の間に透明なシールドを設置する」「不特定多数の人が触れるドアや買い物かごをアルコール消毒する」(もしくはウェットティッシュを常に持ち歩く)というのがこれまでの常識だった。

 今後、ニューノーマルは「不特定多数が触れる貨幣や紙幣は使わない」だけでなく、「店舗での定員と客の接触機会を最小限にする」方向で、遅ればせながら日本人のショッピング体験も大きく刷新されることになるだろう。