オンライン会議システムを使ってインタビューに答える日本HPの羽鳥信一取締役人事・総務本部長
オフィスに出勤せず、自宅などで仕事を行う「テレワーク」への注目が急速に高まっている。ところが「すでに実施している」という先進事例の多くはネットやソフトウェアが本業の企業だ。工場を抱える製造業など、そのほかの業種でも実践・定着させるにはどうしたらいいか。すでに全社にテレワークが浸透している日本HPの取り組みから、その重要なポイントを探った。
なお、本記事のインタビューもオンライン会議システムを利用して、遠隔地同士で行った。
日本HPは、1977年というかなり早い段階でフレックスタイム制度を導入し、フリーアドレスなど新たな環境を次々と整えてきた。テレワーク制度については、「フレックスワークプレイス制度」の名称で2007年に導入。現在全従業員を対象に運用しており、正社員は最大週4日、派遣社員は最大週2日、テレワークできるようになっている*。
*記事公開時点では、新型コロナウイルス対策のため、日数制限をなくしている。
日本HPにおけるオフィス環境の変遷(同社提供)
2007年のテレワーク導入時は、経営陣の中でも不安視する意見があったという。ただ、同社はすでにフリーアドレス化がすんでおり、「そもそもメンバーがどこにいるかわからないのだから、社内にいても社外にいても同じなのでは?」という意見をきっかけに、テレワーク推進に舵が切られた。このことから、テレワークを導入するためには、事前にオフィスワークに関するさまざまな環境整備が重要だということがうかがえる。
「工場などの現場があるので難しい」という理由でテレワークの導入を躊躇している企業が現状では多いかもしれない。だが日本HPもPCを国内で製造・販売している企業だ。どのようにすれば、幅広い業種でテレワークを導入できるか。同社の取り組みからは3つのポイントが浮かび上がってきた。