新型コロナ感染の温床となったオーバーツーリズム。イタリア・ローマのトレビの泉にて(2019年12月27日)

(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役)

 コロナショックは単に感染症のパンデミックであるというだけでなく、「行き過ぎたグローバリズム」が原因で発生した地球規模の社会的パニックであると捉えることができる。

 冒頭の写真は昨年(2019年)末のクリスマス休暇にイタリア・ローマ市内の有名な観光地「トレビの泉」の前で撮影したものである。イタリアにおける新型コロナ感染者数は21万5858人、死者数は2万9958人(米ジョンズ・ホプキンス大学まとめ、2020年5月7日午後4時現在)であり、感染者数・死者数ともに世界第3位と極めて甚大な損害を出しているが、その根源をたどれば昨今、世界遺産の聖地であるこの国で顕著だったオーバーツーリズム現象に行き着くだろう。

アフターコロナの「ニューノーマル」

 世界各国での外出自粛やロックアウトの成果で感染拡大が収束する兆しを見せ始めている一方で、アフターコロナ(コロナ後)に到来するであろう「ニューノーマル」(New Normal)について人々の関心が集まりつつある。

「ニューノーマル」という用語は元来2007年から2008年にかけての世界金融危機(リーマン・ショック)の頃に流行したバズワードで、かつては異常とみなされていたような事態が非連続な構造的な変化が起きた結果として「新たな常態・常識」になって来ることを意味する。

 最近の報道を著者なりに分析していくと、アフターコロナのニューノーマルでは、短期的な収益の追求よりも社会レベルでの感染拡大防止や感染予防が最優先され、さらにその先には具体的なソリューションとして「衛生管理の徹底」「ソーシャルディスタンスの尊重」「非接触(タッチレス)の実現」の3つが世界共通の主要キーワードとして追求されていくことが透けて見える。

 新型コロナ対策では日本のデジタル活用のレベルが欧米はおろかアジア諸国(中国、台湾、韓国、シンガポール)にも大きく劣後していることが判明し、政府や地方自治体が厳しい批判の矢面に立つケースが増えているが、今さら過去の無作為に愚痴をこぼしても始まらない。

 今回は上記3つのキーワードを解決するデジタルソリューションについて、日本がこの先どういう方向に進めば良いのか、未来志向で考えてみたい。