金融商品の販売体制改革が背景に
IFAが注目されている背景には、金融庁が進める金融商品の販売体制改革が挙げられます。
投信は資産運用の中核商品ですが、証券会社や銀行などの金融機関はその売買手数料が大きな収益源でした。かつては販売目標(ノルマ)の達成のため、投資家のニーズやリスク志向に合わない売買を勧める「回転売買」が横行していました。投資家と金融機関とは利益相反の関係にあったということです。
そこで金融庁は2017年3月、「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表して、実質的に回転売買ができないようにしました。その中で顧客の主体的な行動を補う仕組みとして「顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化(販売会社等とは独立した立場でアドバイスする者などに対する顧客のニーズに適切に対応できるよう必要な環境整備)」と明記しています。
米国では資産の「かかりつけ医」として拡大
その具体例としてIFAがクローズアップされたわけです。IFA先進国の米国では投資家がIFAを資産の「かかりつけ医」のように活用しているケースもあります。実際に金融商品の対面販売においては、IFA経由が全体の半分程度を占めるようになっています。
金融機関に属さないIFAには、当然のことながら異動や転勤はありません。投資家と金融機関の「利益相反」を取り除き、長期間にわたって投資家と関わりながら資産運用を手助けできるのが最大のメリットといえます。米国の投資家は金融機関の看板よりも個人としてのIFAに信頼を寄せており、提携金融機関の商品ばかりを推奨するようなIFAは信頼されません。
その米国でも以前は提携金融機関からの手数料がIFAの主な収益源でしたが、現在では投資家から残高に応じた報酬をもらうケースが増えています。