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「IFA」という仕事をご存知でしょうか。Independent Financial Adviserの頭文字で、一般に「独立系金融アドバイザー」と呼ばれます。このIFAがいま、資産運用の世界で注目を集めています。IFAはどんな存在で、なぜいま注目を集めているのか、そして個人投資家はどう付き合っていけばよいのかを考えてみます。
IFAはFPとどこが違う?
IFAの基本的な定義は、中立的な立場から個人投資家へ資産運用の助言業務をおこなう仕事です。特定の金融機関に所属していないので、より投資家サイドに立った助言(アドバイス)が期待できるとされています。IFAになるには、「金融商品仲介業者」として金融庁に登録が必要で、2019年7月末現在で892の個人・法人が登録されています(https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/chuukai.pdf)。また、金融商品仲介業者は日本証券業協会の「外務員」の資格取得・登録が条件となっています。
「FP(ファイナンシャル・プランナー)と同じでは?」と思われるかもしれません。確かに資産運用のアドバイス業務という点では似ていますが、両者の意味は少し違います。FPは「CFP」「ファイナンシャル・プランニング技能検定」などの資格試験に合格した人のことです。これらの資格を取得するとライフプランの提案やアドバイスなどができますが、個別商品の提案や勧誘はできません。
IFAは株式や債券、投信などの販売が可能
一方のIFAは、証券などの勧誘・販売が認められている外務員なので、アドバイスだけでなく株式や債券、投資信託(投信)などの販売が可能です。実際のところ、IFAにはFP資格を保有している人が多く、証券会社や保険会社に勤務していた人が独立・開業したケースも多いようです。
IFAは証券会社と業務委託契約を結んで、証券会社と投資家を仲介するのが主な業務です。投資家から資産運用に関するニーズを聞き取り、業務委託契約を結んでいる証券会社を通じて金融商品の発注や購入をします。したがってIFAは仲介した証券会社からの販売手数料が主な収入源です。一方FPは時間に応じた相談料が収入の中心になっています。
金融商品の販売体制改革が背景に
IFAが注目されている背景には、金融庁が進める金融商品の販売体制改革が挙げられます。
投信は資産運用の中核商品ですが、証券会社や銀行などの金融機関はその売買手数料が大きな収益源でした。かつては販売目標(ノルマ)の達成のため、投資家のニーズやリスク志向に合わない売買を勧める「回転売買」が横行していました。投資家と金融機関とは利益相反の関係にあったということです。
そこで金融庁は2017年3月、「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表して、実質的に回転売買ができないようにしました。その中で顧客の主体的な行動を補う仕組みとして「顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化(販売会社等とは独立した立場でアドバイスする者などに対する顧客のニーズに適切に対応できるよう必要な環境整備)」と明記しています。
米国では資産の「かかりつけ医」として拡大
その具体例としてIFAがクローズアップされたわけです。IFA先進国の米国では投資家がIFAを資産の「かかりつけ医」のように活用しているケースもあります。実際に金融商品の対面販売においては、IFA経由が全体の半分程度を占めるようになっています。
金融機関に属さないIFAには、当然のことながら異動や転勤はありません。投資家と金融機関の「利益相反」を取り除き、長期間にわたって投資家と関わりながら資産運用を手助けできるのが最大のメリットといえます。米国の投資家は金融機関の看板よりも個人としてのIFAに信頼を寄せており、提携金融機関の商品ばかりを推奨するようなIFAは信頼されません。
その米国でも以前は提携金融機関からの手数料がIFAの主な収益源でしたが、現在では投資家から残高に応じた報酬をもらうケースが増えています。
主な収入源は販売手数料
日本経済新聞社グループの情報ベンダーであるQUICKの資産運用研究所が2018年9月に実施した「IFA実態調査」(n=200)によると、IFA業務の主な収益源は「証券の仲介手数料(コミッション)」が最多の36.0%、「生命保険販売業務」が14.5%でした。「預かり資産に応じた報酬(フィー)」と「コンサルティング業務(顧問料、相談料)は8.0%とあまり多くありません。
販売手数料が主な収益源になっている日本の場合、金融商品をたくさん売買するほどIFAの収益が上がる利益相反の関係は残されたままです。IFAの主な収入が金融商品の販売手数料に依存しているとなると、「投資家サイドに立った公平なアドバイス」がどこまで現実的なのか、疑問が残るところではあります。上記調査の回答でも「その他」「わからない・答えたくない」「無回答」の合計が20%近くに達しており、IFAの存在価値を正しく判断するのは、もう少し先にした方がよさそうです。
個人と個人の付き合いを判断基準に
それでも、いまのうちからIFAと付き合ってみたいと考える場合は、以下の4つを考慮してみてはどうでしょうか。
1つめは、コスト体系が残高に応じた報酬制(フィー)になっているIFAがあること。先進的な取り組みを進めているIFA法人のなかには、販売手数料ではなく、助言した運用資産の残高に応じて報酬を得るコースを中心にしているところがあります。これまでの金融機関の在り方に疑問を感じている人は、相談してみる価値があると思います。
2つめは、すべてのIFAが販売手数料目当てでアドバイスしているわけではないことを理解すること。証券会社や銀行と違って、IFAは個人と個人の付き合いが基本です。投資家に信頼されなければ、IFAとしての存在理由はないわけです。担当IFAの実力を色眼鏡で見ることなく、まずはそのIFA自身が信頼に足る人物かどうかで判断したいところです。
3つめは、IFAの「アドバイス」にどれだけの価値を見出せるかという点。IFAが広く深い知見と正しい投資哲学をもってアドバイスしたとしても、結論として出てくるポートフォリオや投資商品は極めてシンプルなことがあります。結論だけ欲しいという人は、そのシンプルさに不満を感じるかもしれません。投資や資産運用は思った以上に孤独な作業。IFAは自分の不安を取り除き、自信をもって納得するための存在であると考えることができれば、長くよい関係が築けるのではないでしょうか。
4つめは、どうしても低コスト運用を追求したいなら誰の助けも借りない、と覚悟することです。ローリスク・ハイリターンの金融商品がほとんど存在しないように、低コストで有効アドバイスはないと心得ましょう。





