3つめは「イノベーターの発掘と採用」である。イノベーターを発掘することは、イノベーションを推進する上で最も重要な問題である。新しいアイデアを思いつく人材とそれを形にして推進していく人材は違う。あるいは、社外の人と協働する際には、社内の資源を有効活用することが求められ、社内人脈に精通している人が必要となる。つまり、イノベーターと言っても多様な人材が求められ、そのことを経営が理解しておく必要がある。
4つめは「イノベーターを活躍させるための仕組み」である。イノベーターが活躍できる職場環境と既存のビジネスを促進させる職場環境は違う。それゆえにイノベーションを促進させるための部署は、既存事業と離れた専門部署を作るわけである。専門部署では、自由で自律的であり、多様性を尊重し、互いのアイデアを建設的に高める風土や仕組みが必要である。新しいものを生み出すわけであるから、失敗もある。失敗を奨励しなければ挑戦もできない。
また、「成功」の基準も難しい。とりあえず商品を世の中に出せたら成功なのか、ある一定の売上を上げたら成功なのか、あるいは単月黒字を達成できれば成功なのかなど、基準が明確にならないケースも多い。
成果が不明確であれば、評価も難しい。既存事業と同じような評価基準は当てはまらないし、評価するタイミングも難しい。事業を創造するのには時間がかかる。結果的に画期的な事業になったとして、どの時点で評価するのか、既存事業とは違う運用が必要となる。
いずれにしてもイノベーターと言われる人が活躍できるような仕組みづくりには、経営が関与し、快適な職場環境を作ることをしなければ、優秀な人材がくすぶり、辞めてしまうリスクがある。
以上、まとめると経営は明確な戦略とともに、イノベーション人材の発掘、採用、教育、活躍させる仕組み・風土づくりがオープンイノベーションを成功させるために必要なことである。
*1:https://www.notebookcheck.net/Apple-A8-SoC.127992.0.html
*2:http://museum.ipsj.or.jp/computer/super/history.html
*3:https://ja.wikipedia.org/wiki/Cray-1
*4:https://www.statista.com/chart/10913/number-of-photos-taken-worldwide/
*5:https://gigazine.net/news/20110921_how_many_photos/
*6:ユルゲン・メフェルト・野中賢治著/小川敏子訳(2018)『デジタルの未来―事業の存続をかけた変革戦略』日本経済新聞出版社
*7:日本レコード協会「音楽ソフト 種類別生産数量推移」
*8:日本著者販促センター「書店数の推移」
*9:PwC「The sharing economy - sizing the revenue opportunity」
*10:総務省2018年『平成30年版 情報通信白書』
*11:リクルートマネジメントソリューションズ(2019)RMS Message vol.53「オープン・イノベーションを成功させる組織のあり方」