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 オープンイノベーションに取り組む企業を多数支援してきた企業が運営する「OPEN INNOVATION CONSORTIUM 」。同コンソーシアムは国内におけるイノベーション創出をさらに加速させるため、2019年2月7日に都内で「IROHANI ACCELERATOR TOKYO2019」を開催。イノベーションの種を求める大手・中堅企業の担当者で賑わった。

 今回は、同イベントで行われたコンソーシアム発起企業3社とJBpress編集長の鶴岡弘之(以下、鶴岡)によるパネルディスカッションの様子をお送りする。

「『未来志向で考える2020年に向けたオープンイノベーション』のいろは」と題されたディスカッションでは、6年以上にわたり国内のオープンイノベーション事情を見つめてきた3社ならではの意見が交わされた。

大手企業の意識に変化。3社が感じる創業当時との違い

 登壇者は、日本最大級のオープンイノベーションプラットフォームを運営する「Creww」代表取締役・伊地知天氏(以下、伊地知氏)、業界調査やニーズ探索を目的として社外の有識者にヒアリングできるサービスを提供する「ビザスク」代表取締役CEO・端羽英子氏(以下、端羽氏)、そして、産業コーディネーターと高度な探索システムを利用した技術マッチングプラットフォームを提供する「リンカーズ」代表取締役社長・前田佳宏氏(以下、前田氏)の3氏。

 モデレーターの鶴岡は、はじめに三社の創業年である2012年当時と現在とを比べた際、感じられる変化について問いかけた。

モデレーター:JBpress 編集長 鶴岡弘之

 前田氏は「GDPを維持拡大するためのオープンイノベーション」という視点から、外部環境の変化を指摘。インドや中国といった諸外国の追い上げに比べると、国内では当時からあまり変化が見られないという。社外の組織と繋がること自体が目的ではなく、より良い物を生み出し、それが売れる仕組みを作るところまでがオープンイノベーションだということを念頭に、海外の脅威に対して最適なオープンイノベーションとは何かを考えていくべきだと語った。

 一方、端羽氏と伊地知氏は大手企業のスピード感に変化が生じてきているという。

「社外の人たちにインタビューをして、その知見を生かそうという当社のサービスについて、当時から『良いサービスだね』と評価していただいていたのですが、いざ利用する時になると『絶対に社名は出したくない』というお客様が多かったんです。最近になって、皆さん社名を出されるようになってきました」(端羽氏)

 当時は消費者調査のようなものでさえ、一部のインターネット系の企業以外は情報を表に出すリスクを過剰に恐れ、社名を公表したがらなかった。それが今や様々な企業が情報を表に出した上で「自分たちはこういう技術を持っているが、ニーズはどう思うか」などと積極的に社外へ問いかけるようになってきたという。結果として、6年前とは情報の流通速度が全く違ってきていると端羽氏は語った。

 これを受けて、マッチングサービスを展開する前田氏も「社名を出さない相手にはそもそも回答しない、というポリシーの企業はあります」と受け、そうした企業の抵抗感を少なくするには情報を開示するタイミングに配慮する必要があると話す。

 伊地知氏も創業当初は苦労したという。

「6年前は皆さんリスクが前面に出てきてしまって、(Crewwの取り組みを企業に持ちかけても)なかなか話が前に進まなかったですね」

 6年前に比べ、オープンイノベーションの必然性が理解されるようになってきた、というのが各社共通の認識のようだ。