最初にやったのは店舗のWebサイトをスマホに最適化することでした。またWebサイトでのコミュニケーションをパルコのスタッフが主体でやるのではなく、テナントスタッフが自ら情報を発信できるプラットフォームとして、ショップブログを全店に展開しました。

パルコ 執行役 グループICT戦略室担当の林直孝氏。パルコ入社後、全国の店舗、本部およびWeb事業を行う関連会社株式会社パルコ・シティ(現株式会社パルコデジタルマーケティング)を歴任。店舗のICT活用やハウスカードとスマホアプリを連携した個客マーケティングを推進する「WEB/マーケティング部」などを担当。2017年3月より「グループICT戦略室」でパルコグループ各事業のオムニチャル化、ICTを活用したビジネスマネジメント改革を推進。

 実行スピードを重視し、当初は独立した組織として立ち上げました。ただ、テナントとのコミュニケーションを行うという点では、接客の研修などを行っているCS/顧客政策部という部署もありました。さらなる運営力向上のために2015年に2つの部門が統合され「WEB/マーケティング部」となりました。

 2014年10月にパルコ公式スマートフォンアプリ「POCKET PARCO」をリリースしました。アプリユーザーは来店前にショップのブログを見て気に入った商品をクリップ(お気に入り登録)します。来店したときにアプリを開くと自動的に店にチェックインされ、アプリに登録しているクレジットカードかプリペイドカードで決済すると買い物の情報が記録されます。翌朝にポイントを付与するときには評価アンケート(レビュー)を付けています。このようにして、一人のお客さまの行動がアプリを通じて分析できるようになったんです。

――いわゆるIT部門とはどういう関係なのでしょうか。

攻めと守りのITを一緒に

 「POCKET PARCO」をご利用いただくことでお客さまのデータが次第に蓄積されていきました。そのデータはものすごく大事なのですが、一方で基幹系システムが持っているデータと統合した方がもっと分析が進みます。そのため、IT部門である「IT推進室」と「WEB/マーケティング部」のシステム開発機能が統合され、2017年に現在の「グループICT戦略室」が新設されました。