スマートスピーカーを設置したあと、お客さまからご意見をいただきました。「トイレはどこですか」と聞いて大きな音量で「トイレはこちら」と言われるのはいかがなものか、という貴重なものでした。人のような気遣いはまだまだ難しく、「お探しの施設はこちらです」という表現にすぐ変更しました。お客さまからいただいたご意見で気づきを得て改善する。そういう繰り返しを日々やっています。

 どのフロアに設置したスマートスピーカーがどの時間帯にどういう回答をしたかを記録しています。設置してある場所によってお客さまが聞きたいニーズが結構違うんです。こういうことをこまめにデータ化するのはいままで難しかったし、人手に頼らざるを得ませんでした。しかし、IoT、ロボットの時代になると、ちゃんと設計をすればこういうデータもお客様の理解に活かせるということです。

技術的に可能なものを実験していくことが大事

 まだ実験段階だけど技術的には可能、というものはたくさんあります。サービスを設計していくときにこういうスモールスタートを重ねていくがものすごく大事です。こういうことを今後もやっていきます。

――最近は、Amazonのようなeコマースの事業者が、リアルの店舗を作るなどの動きを始めていますが、それはどう見られていますか。

 eコマース事業者は顧客のデータと商品情報を持っていることが、われわれと比べたところの強みです。先ほどお話ししたように、われわれはこのようなデータをあまり把握できていませんでした。

 しかし、われわれはまず店舗にいらっしゃるお客さまに満足してもらうことに集中すべきと考えています。どういうお客さまがいらっしゃって、何を求めていて、何がいまは足りていないのかを理解する。そしてそのデータに基づいてサービスを充実させるし、必要であればオンラインのサービスも付け加えていく。そういうふうに進めていくのがいいというのが、試行錯誤しながらやってきてわかってきました。

 PARCOに来館されたお客さまのうち、実際にお買い物をされたお客さまは、全国の平均値でおよそ50%。お買い物につながらなかった半数のお客さまの購買意欲を高めるサービスを提供していきます。また、一つのショップが目的で来たお客さまが店内を歩いて、いままで知らなかったショップも見てもらって、お買い物をしていただく。このきっかけを創出することもものすごく大事な目標です。

 PARCO店内で何十万点とある商品の中で、お客さまが本当にほしかったものに出会う。このような“マッチング率”を上げることはデジタルを使うことによって可能だ、というイメージはできています。技術もそろってきていますから、今後しっかりやっていきます。