他人を信用しないで、悪い判断・間違った判断や投資対象を取り込まないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。山崎氏は、自分の資産運用全体をシンプルにして中身をわかりやすくしておくことが有効だろうと述べています。逆説的ではありますが、心に留めておきたい考え方のひとつだと思います。
「長生きのリスク」の本当の意味とは
リスクとそのマネジメントについて整理してみると、巷間言われる「長生きのリスク」も意味が違ってきます。一般に広がっている「余命が長くなったことで、終年までに老後の生活資金が枯渇する危険性が高まった」というのは違和感があります。
「余命が長くなったことで、蓄えてきた老後の生活資金の取り崩しニーズ(ライフイベント)が多くなり、それが突発的に発生する可能性が高まった」とは言えないでしょうか。だからこそ、健康で長く働くことがより大事になり、資産のなかでいつでも自由に使えるお金を多めに見積もっておくことが肝要になります。
合理的な判断を下しながら楽観的な視点も
ストレス学説の提唱者であるハンガリー出身の生理学者ハンス・セリエ博士は、ストレス学をもとにした数々の人生訓を残しています。そのひとつが「Fight for your highest attainable aim. But never put up resistance in vain.」(自分にとって最高の目標が達成できるように努力しなさい。でも、無駄な抵抗はやめなさい)。
長い人生を豊かに暮らすための資産運用が悩みの種になり、人生を辛いものにしては本末転倒です。金融のプロでも先が見通せないのですから、その時々で自分が合理的と思う投資判断を下しながら「できないことはあきらめる」「細かいことは気にしない」などの楽観的な視点も、人生100年時代の資産運用には大切なのかもしれません。