前回(昨日)はこれからの企業競争力は「社会・環境的品質」という第5の競争軸で決まることを述べてきた。「競争軸」とは、それぞれの時代において、企業として生存・発展できるか否かを左右する最も重要な経営要因である。

第5競争軸の台頭

 古今東西、重要な競争軸だったと言える「自己変革力」(つまり、抜本的な革新を自ら起こし、続ける経営能力)に加え、20世紀後半の市場においては、「マーケットシェア」「価格・根付け」「品質」が主要な競争軸だったと言える。

 第4の競争軸である「品質」は、まさに日本企業によって極められてきた競争軸でもあり、ゲンバ、カイゼン・マネジメント、カンバン方式などといった日本語は、世界共通のビジネス用語にまでなった。

 しかし、社会・環境制約の変化を受け、21世紀市場においては、これら4つの競争軸に加え、第5の競争軸をマスターすることが求められている。下図のように、この競争軸を「環境革新(グリーンイノベーション)+持続可能性の追求(サステナビリティ)」と捉えることができる。

図1 企業の生存・発展を左右する5つの競争軸

 第5の競争軸の台頭は、企業の規模を問わず、また国内を対象市場としていようが、グローバル市場に進出している企業であろうが、経営に影響を与えている。その度合いは、業種によって濃淡こそあるものの(化学や重工業の企業は、サービス業の企業より直接的に影響を受ける)、基本的な原理・原則や時代の要請が変わるものではない。

 環境に対して、これまでの延長線上ではなく、革新的に取り組み、市場における差別化を図りつつ取り組むこと。そして、企業として、社会の健全で持続可能な発展に貢献・寄与するための意思と戦略を持ち、揺るぎなく行動を続けること。

 この2つはセットで、これから企業として選ばれ、そして選ばれ続けるか否かの重要な決め手となるのである。そして、幸いなことに、この競争軸に取り組むことは、市場から “積極評価” されるようになってきている。