2010年、自動車産業が甘い夢から覚める時  

2010.1.14(木) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
日産自動車は自社の主たる製品のほとんどを純EVに置き換えるかのようなイメージを前面に押し出し、メディアもそればかりを取り上げている。しかし純EVは現在の自動車に置換できる存在ではなく、社会的シナリオを構築しつつ導入を進めるしかないことは、その開発に携わる人々がいちばんよく分かっている(写真提供:日産自動車)
拡大画像表示
昨年秋、東京モーターショーに際してマツダが提示した「乗用車用動力源・今後10年のシナリオ」。純EVはその特質から地域や使い方を絞って導入を進めるとしても、絶対量は限定され、ハイブリッドを含めて電気動力が浸透しうる範囲はけして大きくない。むしろハイブリッドといえども基本動力はエンジンであり、自動車の動力の主力が内燃機関である時代はまだまだ続く。すなわちその能力、効率を今以上に高める努力が不可欠だという、極めて妥当なビジョンである
拡大画像表示
上記シナリオに沿ってマツダは「ガソリンエンジンの燃費20%向上」「ディーゼルエンジンのコスト20%低減」を目標に開発を進め、製品化直前の段階に入りつつあるとのこと。これは「SKY-D」として公開された次世代ディーゼルエンジン。世界の最先端を行くレベルを目指すとなれば、これでもまだまだ・・・だと思う
拡大画像表示
長年にわたって日本の排ガス規制と燃費公称値のための走行パターンとして使われている「10-15モード」の走行パターン。一定加速~一定速~一定減速で、しかもその加減速は「発進から40km/hまで14秒」というきわめて緩やかな1パターンのみ。制御や試験実施法をこれにピンポイントで合わせ込むのが日本流だが、その結果、現実とは乖離した数値だけが一人歩き。新しいJC08モードの導入も始まったが、こちらもその轍を踏む。かくて日本には「燃費の指標」が存在しないのである
拡大画像表示
電気動力でクルマを走らせるキーテクノロジーの1つである電池も、こうした大型の「組電池(単電池=セルを多数、直列につなぐ)」になるとリサイクルのプロセスはいまだ具体化していない。ハイブリッド車の市場導入から10年以上が経過し、クルマ本体以前に電池の劣化、廃棄は刻々と増えているのだが。環境負荷の低減に加えてサスティナブル(持続可能)であるためには、新しいテクノロジーの社会投入とその回収・素材までのリサイクル構築は一体に進められなければならない(写真提供:トヨタ自動車)
拡大画像表示

産業の写真

小林製薬の「紅麹」問題も“どこ吹く風”、おびただしい健康食品のテレビCMを放送局はどこまで考査しているのか
廃線危機のローカル線が超満員…近江鉄道“全線無料”で3.8万人「こんな人出見たことない」嬉しい誤算、感じた需要
メタ、増収増益4Q連続も株価下落 AI投資に懸念
社用車の交通事故を未然に防ぐには?
「ニッチ市場戦略をブレずに貫く」SBIインシュアランスグループ業績好調の理由
パナソニック コネクト・一力氏が語る、製造業強化の鍵「裏の競争力」の高め方

本日の新着

一覧
【キムタクドラマBelieveを土木視点で見る】実際の“龍神大橋”はどこにある?なぜ落ちた?
吉川 弘道 | 牧村 あきこ
いまや亡国的水準に達した「円弱」の主犯は誰か、歴史を振り返る
「見せかけの政治」とは決別し、真のイノベーション人材育成へ
伊東 乾
思想がなければ「首領」になれない!北朝鮮の孤独な独裁者 金正恩は民衆の心をつかめるのか
【著者に聞く】共同通信社客員論説委員・平井久志に聞く、南北の平和統一の放棄と韓国を敵国視し始めた理由
関 瑶子
半グレやトクリュウ、闇バイトに流れる若者を減らすには?ハッシャダイが示したヤンキーを「地元」から切り離す意味
【Choose Your Lifeの伝道師(4)】漢字が読めなかった勝山恵一とヤンキーインターンの源流
篠原 匡
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。