最近、「低体温」の危険性を指摘するメディアが増えている。今年3月には、『体温を上げると健康になる』(サンマーク出版)という本も出版された。今回は、その著者、齋藤真嗣医師に、気になる低体温の問題について聞いた。
「健康な人の平熱は、36.5~37.1度の間です。ところが最近は36.3度くらいの人が多くて、中には35度台という明らかな低体温の人が増えています」(齋藤医師)
体温の違いはほんのわずかのように思えるが、放っておくと様々な病気を招く。
過剰なストレスが、低体温を招く
なぜ、低体温が増えているのだろうか?
「いくつか原因が考えられますが、一番の問題はストレスです。過剰なストレスが自律神経やホルモンのバランスの崩れをもたらし、低体温を招きます」
ストレス認知を行うのは脳の視床下部だが、視床下部は自律神経の働きも司っている。従って、過剰なストレス状態が長引くと、自律神経のバランスが崩れてしまう。
自律神経には交感神経と副交感神経がある。交感神経が優位になると、血管が収縮して血圧が上昇し心拍は速くなり、消化器系の働きは抑制される。運動や仕事をする時に適した状態になる。
一方、副交感神経が優位になると、血管は拡張して血圧は下がり心拍は緩やかになり、消化器系の働きが活発になる。心身を休めたり、食事の消化吸収をする時に適した状態だ。
交感神経が過剰に緊張すると、白血球全体の約6割を占める顆粒球が必要以上に増える。すると、顆粒球が死滅する時に発生する活性酸素によって血液の酸化が進み、ドロドロ血液になる。これによって血の巡りが悪くなり、低体温になる。これが交感神経過剰型低体温だ。