どんどん表出している「未来への不安」

 両手を握りしめ、汗だくになりながら黒スーツでご意見を拝聴している緊張感あらわの調査員と、腕組みをし「そうだねぇ~」と力の抜けた雰囲気でお茶の前で天井を見つめ質問にゆっくり、ゆっくりとお答えくださる島根県民。

 これは政治の側がみんな解散かもしれない、日本が大変なことになる、下手したら自公で過半数割れして連立が組めなければまた下野するんじゃないか、ってすっごい危機感持ってて、それが島根県民の皆さんが投じる一票で決まる未来だからと根性入れて調査しろってなってる。

 でも、島根県民からすれば、親方である細田さんが亡くなってしまい、さてどうしようかってところで日本全国から議員やマスコミがわっせわっせとやってきて、街頭でがなり立て、支持を求め、それまで見かけたこともない地元の有力者から投票よろしくと何度も頼まれ、なんかお祭りでもあるのかねえという感じでやってきた非日常なのでしょう。

 そして、ヒヤリングに応じてくれる人たちは、若い人も高齢者も、マスコミの政治報道にはまあまあ目を通してる。

 まあ、政治に関する調査は政治に関心のある人しか回答に応じてくれない(だからこそ、雑な調査設計でもまあまあ当たる)んですが、日々の関心は中央政界の政治不信というより、隣の市への悪口だったり、買い物難民化して日々の暮らしが大変だという苦情だったり、数年前から言ってるのに一向に市が補修しない荒れた農道だったり、そういうところから政治を見ているんです。

 与野党対立がとか、読売や朝日がこう言ってるからなどといった、永田町での議論や話題とは連動しないところで投票が決まっているのだなあと謙虚に受け止めざるを得ないのです。

 それでいて、ここ数年、郊外の選挙区で有権者の皆さんがお話される内容で言えば、どんどん「未来への不安」が表出してきます。