この動きは、身体の健康のための選択だったとも言えます。私はこれを“密”やパンデミックから逃れるための「フリーダム・ワーケーション」と呼んでいます。地方の空気のきれいなところ、風光明媚なところで働き、余暇も充実させる。大きくいえば身体の健康を取り戻すためのワーケーションです。

 これとは微妙に異なるワーケーションが、心や脳の健康を取り戻すためのワーケーションです。これを「リバティ・ワーケーション」と私は呼んでいます。

地域と無縁ではいられない

 フリーダムとリバティ、日本語では同じ「自由」ですが、フリーダムは密や混雑から逃れる自由、リバティは、政治に関わる自由など、「何かに関与する自由」です。

 後者の心や脳の健康を取り戻すワーケーションは、地方に移住して都会の混雑から逃れるというだけでなく、例えば移住先の地域の課題――例えば地域おこしだったり獣害対策だったり過疎化対策だったり――に周りの住民と一緒に取り組み、周囲からの信頼を得、また、地元の人と趣味を一緒に楽しんだりする自由です。

 地方に移住しても、ただのんびりして、地域から孤立しているようでは、やがて心の健康のバランスが崩れてしまいます。これからは身体の健康だけを取り戻すための移住ではなく、心の健康を意識したような移住のスタイルが重視されるようになると思うのです。