(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムは傘下のクラウドコンピューティング事業「Amazon Web Services(AWS)」で、数百人規模の人員削減を実施する計画だ。実店舗向け自動精算技術の開発を手がける部署や、営業・マーケティングといった部署が対象になる。中核部門への投資を拡大しながらも、非中核部門では躊躇(ちゅうちょ)なく整理解雇(リストラ)を続ける方針だ。

 アマゾンの広報担当者は、米CNBCの取材に応じて、「効率化が必要な部門を特定した。コアビジネス分野においては採用を継続している」と説明した。

Just Walk Out断念もリストラの理由

 アマゾンは、直営のスーパーマーケットチェーン「Amazon Fresh」に導入している自動精算システム「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」を廃止する計画だ。

 米メディアのジ・インフォメーションなどによると、今後新規出店する予定のAmazon FreshではJust Walk Outではなく、レジ精算不要のショッピングカート「Dash Cart(ダッシュカート)」を配備する。年内には、既存店の大部分でJust Walk Outを撤去し、Dash Cartを導入する。

 Just Walk Outはスーパーマーケットのような大型店では導入コストがかかる上、買い物中に購入額を把握できないといった問題があると指摘されていた。

 CNBCによると、このJust Walk Outシステムを手がける実店舗向け技術開発チームは、2022年にアマゾンの小売部門から切り離され、AWS事業に統合された。今回のAWS事業におけるリストラ計画は、このJust Walk Outの廃止も背景にあるようだ。一方、直営のコンビニエンスストア「Amazon Go」では引き続きJust Walk Outを活用していく。同社はこの技術を外販しており、今後も他の小売企業や競技場、オフィスビルなどに売り込んでいく考えだ。