欧州ではグリーンスチールの普及が進みつつある(写真:DPA/共同通信イメージズ)欧州ではグリーンスチールの普及が進みつつある(写真:DPA/共同通信イメージズ)

 欧州においてグリーンスチールの普及が進行しつつあり、日本においても、政府や業界団体から鉄鋼業の脱炭素化の道筋が示されている。

 一方、グリーンスチール普及にはサプライチェーンの可視化が可能な体制構築、つまりデジタル化が必須であり、日本の鉄鋼業界に残るアナログ慣習がグリーンスチールの普及の妨げになる可能性がある。

 アナログ対応により課題となっている業務非効率性の解消等のためにも、今こそ日本の鉄鋼メーカーは業務のデジタル化に重い腰を上げるべき時だ。

(佐藤維亮:株式会社オウルズコンサルティンググループ プリンシパル)

欧州のグリーンスチールと本格化する鉄鋼業の脱炭素化

 ここ数カ月の間、欧州の自動車会社や鉄鋼メーカーがグリーンスチール(製造時のCO2排出量を削減した鋼材のこと)の普及に向けた取り組みを開始している。

 そもそもグリーンスチールとは何を指すのか、実は現状明確な定義はない。IEA(国際エネルギー機関)が鉄鋼における「ニア・ゼロ・エミッション素材」の定義として、鉄鋼を生産する際に使う原材料に応じて基準となるCO2排出量を決めるという考え方を2022年に提示した考え方を基に、現在も議論が進められている状況である。

 このような状況下、ポルシェは、スウェーデンのボーデンで再生可能電力を使用して鉄鋼を生産する計画のH2グリーンスチールより、2026年から自社ほぼゼロエミッションの鉄鋼の供給を受ける予定であることを発表した。

 また、欧州の大手鉄鋼メーカーアルセロール・ミタルは3500 万ユーロを投じ、廃木材をゲント製鉄所の高炉で使用するバイオ炭に変換するトレロ・プラントを2023年12月より稼働させたことを公表。これにより、高炉での化石炭の使用を削減することで、工場からの年間炭素排出量を 11万2500 トン削減が可能とのことだ。

 日本においても国内の製造業において最もCO2を排出している鉄鋼業の脱炭素化について議論が進められており、次ページにあるように、大きく3つの手法の議論が進められている。