幹線道路の歩道上に水が飲める場所がありました。篤志家が善意で建てたものだそうです。「この水を飲むか飲まないかにかかわらず、利用してください」。「わたしの水を無駄にしないで。開いていたら、閉じてください」と刻まれています。下に猫と犬のイラストが描かれたプレートがあり、水が入っていました。

 運河が何本か交差している町がありました。霧雨が降り出したので、近くにあったカフェで休もうとしたとき、犬が寂しそうにすぐ後ろについてきたので、話しかけました。すると、近くに停泊していたボートのなかから猫が飛び出してきました。「わたしの犬に何か用?」とでもいうように、犬との間に入って仲のよさをアピールしていました。

 イスタンブールを離れて、ヨーロッパ側の地域をボスポラス海峡沿いに進み、黒海の方向へ向かいます。海峡沿いにある町の広場には、光があたり、ベンチで猫たちが休んでいました。黒い猫に話しかけていると、その奥にいたオレンジ色の猫が近づいてきて、黒猫を追いやってしまいました。

 体を大きく見せるように伸び上がると、体を覆う被毛が日光を浴びて、フワッと。猫の温かいにおいがしました。