プーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「リハビリテーション」という名の再教育

[ロンドン発]ロシアの全面侵攻からまる2年。ウラジーミル・プーチン露大統領によって連れ去られた子どもたちを取り戻すウクライナ政府のプラットフォーム「戦火の子どもたち」によると、528人が命を落とし、1226人が負傷、2134人が行方不明となった。強制移送・移住させられた子どもは現在1万9546人。祖国に帰還できた子どもは388人に過ぎない。

 ロシア軍に破壊されたウクライナ東部ドネツク州の港湾都市マリウポリで暮らしていた11歳のイリア君は母親を砲撃で失った。自身も多くの破片で負傷し、ロシア軍によって病院に運ばれた。「ロシアの一部としてのウクライナに栄光あれ」とロシア語で書くように強要されたが、ウクライナ政府と非政府組織(NGO)、祖母の協力で解放された。

昨年4月8日、ウクライナの民間団体がロシアが連れ去った子ども31人を救出した。被占領地域からロシアのサマーキャンプに連れ去られた後、ウクライナとベラルーシの国境を越えてキーウまで帰ってきた息子を抱きしめるウクライナの母親(写真:ロイター/アフロ)

 ロシア軍は「リハビリテーション(再教育)」という名目で南部ヘルソン州の子どもたちを連れ出した。2週間のホリデーキャンプと偽って親に子どもたちを送り出させた。何十台ものバスがロシア占領下のクリミア半島に向かった。「夢」「友情」「光を放つ点」と名付けられた3つの収容所だけで数千人の子どもたちがいた。