通常の路線バスとは違うBRTの「3つの特徴」

 実のところBRTには明確な定義がない。そのため、各地のBRTもそれぞれ異なったシステムで運行されている。通常の路線バスとBRTの違いを強いて挙げるとすれば、「定時性」「速達性」「輸送力」の3つだ。

 定時性は時間通りに発着することを意味し、公共交通では特に重要視される。災害や廃線によって誕生したBRTは、線路跡をそのまま専用道に活用しているケースが多い。専用道を走れば渋滞に巻き込まれることもなく、定時性を確保しやすい。また、速達性も十分に発揮できる。

 しかし、東京BRTの運行ルートにバス専用道はない。それなのに、どうやって定時性を確保し、速達性を高めるのか? 東京BRTは公共交通優先システム(PTPS)を導入することで定時性の確保や速達性を高めることを目指している。PTPSは、BRTのバスが交差点に接近したことを察知すると、赤信号を青信号に切り替えるなど信号を調整する。

 東京BRTはPTPSの導入で定時性・速達性を高める工夫をし、プレ運行時に時速15km、本格運行時に時速20kmの表定速度を実現させることを目標に掲げている。表定速度とは、停留所での停車時間を含んだ平均時速を意味する。ちなみに、通常の路線バスの表定速度は、時速10km前後といわれている。それから考えると、東京BRTが一般の路線バスよりも速達性に優れていることがわかるだろう。

 もうひとつのキーワードとなっている輸送力は、バス2台分の車両を連結した連節バスを運行することで一般の路線バスよりも輸送力を強化。東京BRTは非連節バスと連節バスが混在している。

 連節バスは、千葉県千葉市の海浜幕張駅を中心に運行している京成バスグループや、国内最大のバス事業者とも称される神奈川中央交通、福岡県を地盤にした西鉄グループなどが導入している。しかし、これらのバス路線はBRTと称していない。ということからも、BRTの定義はあいまいで、BRTだから最先端の公共交通というわけでもない。