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(長谷川 学:ジャーナリスト)

 歯科を除く一般の診療所(クリニック)の開業医は全国に約10万人いる。開業医が高給なのは漠然と知られているが、では日本の中央銀行のトップの日本銀行総裁より高給を取っている開業医が何人いるか、ご存じだろうか。

 正解は約2万3000人。日銀総裁に今年就任した植田和男氏の年収は3554万円だ。一般のサラリーマンからすると、何ともうらやましい限りの高給だが、厚生労働省が発表した「2022年度医療経済実態調査」によると、約10万人の一般診療所の院長の2割以上が日銀総裁よりも高給なのだ。

高給で知られる医師の中でも特に高い診療所院長の年収

 厚労省調査によると、一般診療所の院長の年収平均は2653万円で、日本人の平均年収443万円(21年度)の6倍。さらに院長の年収の分布を細かく調べると、3500万円以上の年収の院長が全体の22.9パーセントを占めている。

 また診療所院長の1割近くは年収が5000万円超。7500万円以上の院長が約3000人もいる。

 一方、診療所に雇われている勤務医の平均年収は院長の半分以下だが、それでも1118万円あり、日本人の平均の2.5倍。なおクリニックより規模の大きい「病院」を開業している院長の平均年収は2633万円、勤務医は1461万円。診療所の院長の方が病院の院長より年収が高いのは、診療所が病院よりもスタッフが少ないため、人件費に回すお金が少なくて済み、その分儲かるからだろう。