ガザの南部へ避難するパレスチナの子ども(写真:ロイター/アフロ)
  • イスラエルの激しい攻撃により、ガザで多くの子どもたちが犠牲になっている。100万人の子どもが逃げ場を失い、11月15日までに4600人以上が死亡し、9000人が負傷している。
  • 2022年までに、ガザの子どもの8割近くが鬱などの症状を抱え、約半数が自殺を考えたことがあるとの調査もある。
  • 憎悪の連鎖により、こうした精神を病んでしまった子どもたちが将来、過激派に転じるなどでしてテロが再生産されてしまうリスクもある。(JBpress)

(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)

 イスラエルがイスラム組織ハマスの掃討を掲げてパレスチナ・ガザ自治区へ軍事攻撃を続けている。これに抗議する大規模な抗議活動が今月11日、英ロンドンで行われた。

 集まった人の数はロンドン警視庁発表で30万人、主催者側は80万人としており、後者は同デモが英国史上最大規模であったと主張している。

 当日のルートは米国大使館へとつながる大通りにあり、筆者の自宅から徒歩5分ほどの場所でも夕方辺りが暗くなっても人の波が途切れることはなかった。一部報道では右派と警察が衝突したとも伝えられていたが、筆者が見た人波では大きな混乱は見られなかった。英高級紙ガーディアンの当日の報道によれば逮捕者は126人。仮に30万人の参加者があったとしても、問題を起こしたのはごく少数だ*1

*1London’s pro-Palestine march live: 126 people arrested as police highlight ‘deeply concerning’ rightwing violence – as it happened(The Guardian)

 加えて、ロンドン警視庁によれば問題行動を起こしたのは酒に酔った悪名高いサッカーフーリガン兼右翼であったとされ、ガザ地区への支援を呼びかける大多数が平和的にデモ行進していたことがわかる。その中には「虐殺をやめよ」と呼びかける1000人以上のユダヤ系住民の姿もあったという。

 デモに参加した人々は口々に「子どもへの爆撃をやめろ」などと叫んでいた。イスラエルによるガザ地区への攻撃で最も過酷な影響を受けているのは、何の罪もない数多くの子どもたちだ。国連のグテーレス事務総長は6日、ガザが「子どもの墓場になっている」と、即時の人道的停戦を訴えた*2

*2Gaza: ‘Unfolding catastrophe’ makes humanitarian ceasefire more urgent(国連)

 国連人権高等弁務官のフォルカー・トゥルク氏は16日、ガザ地区での「広範にわたる感染症の蔓延と飢餓は避けられないだろう」と語った。同日、国連世界食糧計画(WFP)も、生活に不可欠な食料や水の供給が「事実上不可能」であるとした。イスラエル側がガザ地区への封鎖を行なっているためだ。