世界最高の防空網と情報網誇るイスラエル、なぜハマスのローテク奇襲許したか

　司法制度改革を巡り分断が深まっていたイスラエルは団結が不可欠だ。

　前首相で野党党首ヤイル・ラピド氏は「首相は機能不全に陥った内閣では戦争を管理できないことを知っている。イスラエルは経験豊富な責任ある政府に率いられる必要がある。イスラエル国民の大多数が国防軍と治安部隊を支持していることを敵に示すことになる」と地元紙に語っている。

イスラエルはエジプトに人質解放の仲介を依頼

　2014年、ガザ封鎖解除のためハマスが仕掛けた数千発のロケット弾攻撃をイスラエルのアイアン・ドームは見事に防いだ。フェンスの下をくぐってイスラエル人居住区を攻撃する30本以上の地下トンネルを発見して破壊した。「改良されたフェンスと防空システム、空軍の精密打撃はハマスの脅威を鈍らせるのに十分とみなされた可能性がある」（フリードマン氏）

10月8日、ガザから発射されたロケット弾を迎撃するイスラエルの「アイアン・ドーム」（写真：ロイター/アフロ）

ギャラリーページへ

　しかしハマスはイスラエルの防御網を突破する方法を編み出していた。数百発のロケット弾を同時発射し、一時的にアイアン・ドームを圧倒した。フェンスはブルドーザーで突破し、パラグライダーで飛び越え、海上から迂回した。第一次攻撃の成功によりイスラエルの国境は破られた。民間人が人質に取られたり、無差別に殺害されたりした。

「第一にハマスには準備がある。これは厳しい戦いになる。第二にイスラエル国防軍には200万人の人口を抱えるガザを制圧する能力も持続力もない。ガザの住民は他に行き場がなく、怒りを増幅させている。第三にイスラエルにとって最大のリスクは紛争が拡大し、イスラエル国防軍とアイアン・ドームが疲弊することだ」とフリードマン氏は指摘する。