ルパート・マードック氏(中央)と2人の息子(左が長男ラクラン氏、右が次男ジェームズ氏)(2014年3月11日撮影、写真:AP/アフロ)

世論調査はトランプ52%、バイデン46%

 ドナルド・トランプ米前大統領を支えてきた「メディア王」、ルパート・マードック氏(92)がFOXニュースとニューズ・コーポレーションの会長を今年11月に退任することが決まった。

 折しも、ドナルド・トランプ前米大統領(52%)はワシントン・ポスト最新世論調査でジョー・バイデン大統領(42%)に10ポイント差をつけてリードした。

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 この数字に、選挙専門家の間では、「こうした生数字をそのまま公表するのは馬鹿げている。あとで恥をかくだろう」(ラリー・サバト・バージニア大学政治研究センター所長)といった声が上がっている。

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 もっともそれ以外の世論調査でも両者の支持率は互角か、トランプ氏が1、2%リードしている。

 高齢問題に加え、次男ハンター氏の起訴、経済、移民対策に対する現政権への不満の表れなのだろう。

トランプ育て大統領にし守ってきたメディア

 トランプ氏はなぜ、高支持率を保っているのか。

 その要因の一つがマードック氏率いるFOXニュースだ、というのは今や米政界オブザーバーの間では「常識」になっているようだ。

 FOXニュースは、ケーブルテレビ業界ではCNN、MSNBCの追随を許さぬ視聴率を誇っている。

 共和党支持者の大半はFOXニュースしか見ない。

 そのFOXニュースとニューズ・コーポレーションの最高指揮官として君臨してきたルパート・マードック氏が一線から身を引くことになった。

 欧米メディアは同氏の功罪をめぐって論陣を張っている。

 ニューヨーク・タイムズの会長がやめようと、CNNの会長が引退しようと米メディアは、これほど騒ぎはしないだろう。

「ザ・ガーディアン」のオーウェン・ジョーンズ氏はこう指摘する。

「それは、マードック氏が選挙の洗礼を一回も受けたことがないにもかかわらず、最強の政治屋だからだ」

 マードック氏のメディア王国傘下の「ウォール・ストリート・ジャーナル」は9月22日付けの社説でこう書いた。

「ルパート・マードック氏は、数々の偉業を成し遂げ、大成功を収めた70年を経て、自身が率いてきたメディア企業2社の会長を辞任すると発表した」

「同氏ほど世界中で人々の生活に大きな影響を与えた起業家はあまりいない」

(論説委員会の面々がゴマを擦っていることは間違いないが、米国には「編集の壁(経営陣の編集権不介入)」というのが建前上ある。その範囲内での客観的なマードック評価ということか)

wsj/rupert-murdoch-to-step-down-as-chair-of-fox-and-news-corp-after-seven-decade-career