アン・サン・スー・チー氏(写真:ロイター/アフロ)

弁護士もスー・チーさんの近況を外部に伝えることを禁じられる

 ミャンマーの民主化運動のシンボルでノーベル平和賞受賞者でもあるアウン・サン・スー・チーさん(78)の健康状態への懸念が高まっている。

 スー・チーさんは2021年2月のミン・アウン・フライン国軍司令官による軍事クーデターによって、自身が率いる民主政権の実権を奪取され、クーデター発生当日に身柄を拘束されて以降、軟禁生活や刑務所での服役生活を余儀なくされている。

 2022年12月、軍政によるいわれなき19件での訴追を受け禁固33年の実刑判決を下されて、それまで軟禁状態だった民家から首都ネピドー近郊の刑務所内に設けられた特別房で「服役生活」を送っていた。

 その後、今年7月には、刑務所からネピドー市内の政府関係者の民家に移送され軟禁状態となったとミャンマーの独立系メディアなどが伝えていた。さらに8月には軍政の恩赦で禁固は33年から27年に減刑されたという。

 78歳という高齢からスー・チーさんの健康状態については拘束直後からずっと懸念されており、公判中も体調への関心は高かった。

 当初は裁判に同席した弁護士グループからスー・チーさんの健康状態に関する情報が伝わってきていたが、その後、軍政の強い影響下にある裁判所が弁護士に「法廷での様子、スー・チー被告に関する情報に関して海外メディアを含めて部外者に対して伝えることを禁止する」との方針が伝えらえた。以後、スー・チーさんの健康状態に関する情報は極めて限定的、断片的に裁判関係者などから密かにもたらされるだけになり、その情報も信憑性や客観性が担保できない状況となっていた。