国内で演説するプーチン大統領(写真:Sputnik/共同通信イメージズ)

 ワグネルの反乱で混沌としているかに見えるロシアだが、戦争が終わりそうな気配は見えない。はたして、この消耗戦でロシアは本当に追い詰められているのか。『プーチンの復讐と第三次世界大戦序曲』(集英社インターナショナル)を上梓した国際政治学者で前東京都知事の舛添要一氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──これまで、ロシアとウクライナの間で5回にわたり停戦協議が行われましたが、去年3月30日にウクライナ軍がブチャに入り、ロシア軍が撤退すると、現場から多数の民間人の遺体や墓が見つかり、そこから、停戦交渉が止まってしまいました。この戦争を終わらせる要因はどの辺にあると考えていますか。

舛添要一氏(以下、舛添):戦争を継続することに利益を見る人たちと、やめた方が利益になると考える人たちに分かれており、我慢比べのような状態が続いています。

 アメリカはクラスター爆弾の供与を開始して、実際に使用を始めましたが、このような兵器を使ってはいけません。イギリスは反対を表明していますが、2008年にクラスター爆弾禁止条約に署名している日本も反対の声を上げなければならない。

 署名した国際法に違反したら非難しないと、国連憲章に違反してウクライナに侵攻したロシアに文句を言えなくなる。

 これほど問題のあるクラスター爆弾を使うのは、アメリカの弾薬が不足している証拠です。アメリカだって国民の税金で武器を買い与えている。やがて、どこかで限界がくる。この点でいうとロシアには限界がありません。しかも、スターリン時代の独ソ戦からも分かるように、国民が飢えても戦い続ける国です。

 ロシアは最近、黒海を経由するウクライナ産穀物の輸出に関する合意を、延期せずに離脱しましたが、膨大な穀物を持っている国です。食料とエネルギー資源を持っていたら、食べていくことには困らない。我慢比べをしたらロシアのほうが忍耐はある。

 アメリカでも、下院トップのマッカーシー院内総務が昨年「これ以上、ウクライナに白紙の小切手を切るつもりはない」と語りましたが、アメリカで大統領選挙が控えている。来年の春夏ごろから停戦をめぐる議論が盛り上がると思います。

 トランプはすぐにウクライナ戦争から引くと言っているし、バイデンにしても、終わらせる考えを示さなければ選挙で負けるかもしれないとなれば、そちらに傾く可能性がある。

 どこの国も、インフレの中で戦争を続けるのはつらい。ロシアと国境を接するバルト三国は闘う構えを見せるけれど、フランス、ドイツ、イタリアなどは離れているから必ずしもこだわらないかもしれません。来年のアメリカの大統領選挙が重要で、逆に言えば、来年まではこの戦争は続く可能性が高いということです。

 なぜ簡単に終わらないかというと、アメリカは代理戦争をやらせている。血を流しているのはロシア人とウクライナ人で、欧米は自分たちの血を流していない。しかも、軍需産業はこの戦争で大儲けしている。やめるインセンティブがない。

 そして、一番笑っているのは中国です。アメリカやロシアが弱まれば、自分の天下だという意識がある。

──中国は、対欧米という意味で、重要な仲間であるロシアが弱体化すると、今後は自分だけで対峙していかなければならなくなるから、不安なのではないかとも思いますが……。