亡くなったryuchellさん。今年4月、LGBTQのイベント「東京レインボープライド2023」に登場した時の一枚(写真:Pasya/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが27歳の若さで急死した。12日午後5時半ごろ、東京・渋谷区のマンションにある個人事務所で死亡している状態で発見された。現場の状況から自殺と見られる。

 遺書のようなものは見つかってないようで、動機は明らかになっていないが、SNSをはじめとするネット上の誹謗中傷が自死に追いやったとする見方が主流になっている。現実におびただしい誹謗中傷が飛び交っていたこともあって、タレント仲間や政治家までもが、この問題について言及している。

「コオロギ食」の記事で炎上

 私もネット配信の記事やコラムをまとめるようになって、幾度となくSNS上の誹謗中傷に晒され、炎上と呼ばれる状況にまでなった。例えば、このサイトで「コオロギ食」について書いたところ、誹謗中傷どころか、全くのデマを根拠に批判され、罵られた。

(参考)「コオロギ食」への差別行為が横行、嫌なら食べなきゃいいだけなのになぜ

 他のニュース配信サイトでは、田んぼのイネから地球温室効果ガスのメタンが放出されている事実を書いただけで、「こんな奴にコメを食わせるな」とあちらこちらで書き込まれた。イネが放出するメタンについては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)でも議論されている。

 そこでSNSを通じて誹謗中傷に晒される立場から見えてきた、罵詈雑言を書き込む顔の見えない群衆の行動原理や心理について私見を述べたい。