6月9日、ロシアのソチで会談を持ったロシアのプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領(写真:ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 ウクライナは、満を持して反転攻勢を始め、着実に前進していると主張している。しかし、ロシアは、これを撃退していると反論している。

 世界のメディアが様々な報道を展開しているが、戦場の現実がどうなのか、「分からない」というべきであろう。戦争中に、交戦国の片側の主張のみを丸呑みにする愚は避けなければならないが、日本では、「専門家」と称する者もマスコミも、その基本的な注意を怠っている。

再核武装するベラルーシ

 戦争が長期化する中で、苦戦を強いられていると言われているプーチン大統領が核兵器を使用するのではないかという観測も高まっている。ベラルーシにはロシアの戦術核兵器が搬入され始めており、来月の7〜8日頃には配備が完了するという。

 ルカシェンコ大統領は、ウクライナがベラルーシの安全を脅かす危険性があり、それを抑止するために、自らロシアに配備を要請したという。そして、必要ならば、躊躇せずに核兵器を使用すると明言した。

 しかし、ロシアは、核兵器の管理権はあくまでもロシアが持つと明言している。

 ロシアが、「ベラルーシとの合意に基づいて」戦術核を配備することを明らかにしたのは、3月25日のことである。そして、核弾頭を搭載できる弾道ミサイル・イスカンデルのベラルーシ配備も完了している。イスカンデル操作の訓練もロシアで行われている。

 また、一部のSu-25攻撃機が核兵器使用が可能なように改造されたという。

 このように、ベラルーシでは、ミサイルや航空機を運搬手段として、戦術核兵器を使用するための準備が進んでいるのである。